虫歯は、歯垢の中に棲む細菌によって起こる感染症で、細菌の作り出す酸によって歯が溶かされて虫歯になります。虫歯がどこまで進行しているかで痛みの感じ方が違ってきますので、ご説明します。
虫歯の進行と痛みの関係
歯の一番外側のエナメル質は人体の中で最も硬い組織で、神経も管も通っておらず、感覚がありません。そのため、エナメル質を溶かしている初期の虫歯では痛みは起こらず、無症状です。
エナメル質が溶かされ、虫歯が象牙質まで進行している場合は、しみる症状が起こります。象牙質には、歯髄から象牙細管と呼ばれる細い管が無数に伸びており、冷たいものや甘いものの刺激が伝わってしみるような痛みを感じるのです。
虫歯が歯髄も溶かしてしまい、歯髄にまで到達すれば、ズキズキする拍動性の神経の痛みが生じます。眠れないほどズキズキと強く痛む場合は、虫歯が歯髄に達しています。この強い痛みは、感染によって炎症を起こした歯髄が充血したり、歯髄に膿がたまったりして内部の圧が高まることで起こります。
虫歯治療では、歯科医師による目視と、患者さんの痛みの症状にレントゲン画像で得られる情報によって、現在歯のどの部分まで到達しているのかを診断し、治療方法を決定します。
歯の構造はどうなってるの?
お口の中の歯の構造は、3つから出来ています。
- 一番外側のエナメル質
- その内側にある象牙質
- さらに内側になる歯髄(歯の神経)
これらのそれぞれの層に虫歯が進行したときの痛み方には特徴があり、痛みによってどの程度悪化しているかを知ることが出来ます。
虫歯からエナメル質を守る
エナメル質には痛覚や知覚がありませんので、エナメル質が傷ついているかどうかを感覚で知ることは出来ません。しかし、エナメル質が溶けたり欠けたりしないように守っていくことが、歯を良い状態に保つためには大変重要なことです。
虫歯菌の出す酸は、まずエナメル質を溶かします。エナメル質が完全に溶かされて虫歯菌が象牙質に達すると、象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、どんどん悪化していきます。
そのため、できるだけ象牙質に達するような虫歯をつくらせずに、健康なエナメル質を守ることが重要です。
虫歯から歯根を守る
歯根は歯茎の中に埋まっているので、通常は見えません。しかし歯周病にかかって歯肉がどんどん下がっていくと、歯根が露出してきて目で見えるようになります。
歯根は象牙質で出来ており、エナメル質に覆われていないために虫歯にはとても弱く、虫歯になってしまってからの進行も早いため、歯根が露出した部分への虫歯には注意が必要です。
歯根が露出してしまうと、虫歯ではないのに痛みが出る知覚過敏という症状も起こりやすくなります。歯根ではありませんが、エナメル質の部分がくさびのように凹んだ状態になって歯がしみる楔状欠損という状態も、エナメル質の中の象牙質が露出することで起こる知覚過敏です。
虫歯の痛みに関するQ&A
虫歯の進行と痛みの関係は、エナメル質の初期の虫歯では無症状です。象牙質まで進行すると、しみる症状が出ます。歯髄に到達すると、拍動性の強い痛みが生じます。強い痛みは感染による炎症や膿のたまりによるものです。歯科医師は目視とレントゲン画像で虫歯の進行状況を診断し、治療方法を決定します。
歯根は歯茎の中に埋まっているため通常は見えませんが、歯周病によって歯茎が下がると歯根が露出し、虫歯に弱くなります。歯根への虫歯進行は早く、知覚過敏などの症状が起こりやすくなります。
歯根が露出すると、虫歯ではないのに痛みが出る知覚過敏という症状が起こります。また、エナメル質の部分がくさびのように凹んだ状態になって歯がしみる楔状欠損という状態も、歯根の露出によって起こる知覚過敏です。
まとめ
虫歯の痛みについてご説明しました。歯はエナメル質、象牙質、歯髄の3つの部分にわかれており、虫歯がどこまで進んでいるかで痛みの感じ方が違います。早めの虫歯治療と、定期健診による虫歯予防で、大切な歯を守りましょう。