インプラント

インプラント治療のメリット・デメリットが知りたい

インプラント治療のメリット・デメリットが知りたい!

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

インプラント治療はやってみたいけど、痛そう?治療費が高そう?と迷っている方も多いのではないでしょうか?

インプラント治療とは?

インプラント治療は、失った歯の代わりにチタン製の人工歯根を顎骨に埋め込み、その上に被せ物を装着する治療法です。この治療は、入れ歯やブリッジといった他の補綴法とは異なり、自然な見た目と機能性を取り戻すことができる点が大きな特徴です。

インプラントの構造

インプラントは主に以下の3つの部分で構成されています。

インプラントの構造

1. インプラント体(人工歯根)

チタンやジルコニアで作られた小さなネジ状の人工歯根で、顎骨に埋め込まれます。生体適合性が高いため、骨と結合しやすく、長期間安定した状態を保ちます。

2. アバットメント

インプラント体と上部構造(被せ物)をつなぐ部品です。インプラント体が顎骨としっかり結合した後、アバットメントを取り付け、人工の歯を支える役割を果たします。

3. 上部構造(被せ物)

セラミックやジルコニアで作られた人工歯で、天然歯に似た外観と機能を持っています。患者の歯の色や形に合わせて作製され、審美的な仕上がりが期待できます。

治療の流れ

  1. 診断と治療計画の作成・・レントゲンやCTスキャンで患者さんの顎骨の状態を確認し、治療プランを決定します。
  2. インプラントの埋入手術・・チタン製のインプラントを顎骨に埋め込む手術を行います。
  3. 治癒期間・・骨とインプラントが結合する期間(約3〜6ヶ月)を待ちます。
  4. 被せ物の装着・・治癒が完了したら、インプラントの上に被せ物を装着し、治療が完了します。

インプラントはしっかりとメンテナンスを行えば一生使える可能性があるため、多くの患者さんにとって魅力的な選択肢です。

インプラントのメリット

インプラント図解

1. 天然の歯に近い見た目と機能

インプラントは、顎骨に人工歯根(チタン製のスクリュー)を埋め込み、その上にセラミックやジルコニアなどの人工歯を取り付けます。上部構造は、歯科技工士が患者さんの天然歯の色や形に合わせて作成するため、周囲の歯と調和しやすいです。

また、インプラント自体は顎骨に埋め込まれているため、歯茎から見える部分が天然の歯と見分けがつかないほど自然です。そのため、笑った時や話した時に自信を持って過ごせることが、患者さんにとって大きなメリットとなります。特に前歯を失った場合、審美的な理由からインプラントを選ぶ方が多くなります。

2. 隣の歯を削る必要がない

ブリッジ治療では、失った歯の両側の健康な歯を削って支台にする必要がありますが、インプラントは骨の中に自立しているため、他の歯による支えを必要としないので、隣の歯を削る処置が不要です。

健康な歯を削らずに済むことで、他の歯の寿命を延ばすことができ、口全体の健康を長く保てます。また、削られた歯は弱くなることがあるため、インプラントは歯の削りを避けたい方にとって最適な選択肢です。

3. 長期間使用できる

インプラントは耐久性が高く、メンテナンスをきちんと行えば10年以上、場合によっては生涯にわたり使用可能です。通常の入れ歯やブリッジは数年ごとに交換や修理が必要な場合がありますが、インプラントは骨としっかり結合しているため、維持費用が抑えられます。また、インプラント材料として使用されるチタンは生体親和性が高く、体内で拒絶反応を引き起こしにくい金属です。

4. 骨の退縮を防ぐ

歯を失った場所の顎骨は次第に吸収されて痩せていくため、少しずつ顔の輪郭が変わってしまうことがあります。特に入れ歯を使用している場合、顎骨の退縮が進行しやすく、顔が老けて見えることもあります。

これは、歯が顎骨に与える刺激がなくなるためです。しかし、インプラントを埋め込むことで、噛むたびに骨に適度な刺激が与えられ、骨の退縮を防ぎます。これにより、顎の形が保たれ、顔の輪郭が崩れるリスクを減らすことができます。特に、前歯部でのインプラント治療は、顔全体の印象に大きな影響を与えるため、審美的な理由でも非常に重要なメリットです。

5. しっかりと噛める

入れ歯は口の中で動きやすく、噛む力が制限されることがありますが、インプラントは顎骨にしっかり固定されるため、噛む力を取り戻すことができます。これにより、硬い食べ物や粘り気のある食べ物でも自然に噛むことが可能です。

特に食事を楽しむことを重視する方にとって、インプラントは大きな利点となります。食事の質が向上することで、全体的な生活の質(QOL)も改善します。

6. 発音の改善

インプラントは、入れ歯と比べて発音に影響を与えにくい点もメリットの一つです。入れ歯は外れやすく、話している最中に動いてしまうことがあり、発音に支障をきたすことがあります。しかし、インプラントは顎骨にしっかり固定されているため、安定性が高く、発音に悪影響を与えにくいです。特に、前歯のインプラントは発音に大きく寄与します。

インプラントのデメリット

1. 費用が高い

インプラント治療は、他の補綴治療(ブリッジや入れ歯)と比べて費用が高くなる傾向があります。治療には複数のステップがあり、手術、材料費、上部構造の作製、診療費などが含まれます。加えて、増骨の処置が必要な場合もあり、その分費用が増すこともあります。保険適用外の場合が多く、全額自費負担となりやすい点が注意点です。

2. 外科手術が必要

インプラント治療は外科手術を伴います。麻酔を使用して行いますが、手術そのものや術後の回復期間にリスクや負担があります。特に全身疾患(糖尿病、心疾患など)を持っている場合、手術のリスクが高まることがあり、治療が難しいケースもあります。さらに、手術後の痛みや腫れ、感染症のリスクも考慮する必要があります。手術に不安がある患者さんにとっては、心理的な負担も大きいです。

3. メンテナンスが必要

インプラントは天然の歯と同様に、日々の口腔ケアが欠かせません。特にインプラント周囲炎という病気があり、これにかかると骨の吸収が進行し、最悪の場合インプラントが脱落する可能性があります。

そのため、インプラント治療後も定期的に歯科医院でのクリーニングやチェックを受けることが推奨されます。口腔ケアが不十分だと、せっかくのインプラントを早期に失ってしまうリスクがあります。

メンテナンスの重要性

インプラントは定期的なクリーニングとメンテナンスが必要であり、これを怠るとインプラント周囲炎などの問題が発生しやすくなります。

4. 手術後の痛みや腫れ

インプラント手術後には、手術部位の痛みや腫れが数日間続くことがあります。特に骨移植を伴う場合や顎骨が薄い場合は、手術の負担が大きく、痛みが強く出ることがあります。術後は処方された痛み止めを服用し、しばらく安静にする必要があります。また、術後の回復具合には個人差があり、職場復帰や日常生活に戻るまでの期間が変わってくることもあります。

5. 治療期間が長い

インプラント治療は、通常数ヶ月以上の期間を要します。インプラントが顎骨にしっかりと結合するまで時間がかかるため、その間は仮歯や入れ歯を使用することになります。骨の結合がうまく進まない場合、追加の手術や再治療が必要となることもあります。また、治療期間中は頻繁に歯科医院に通う必要があり、時間的な負担がかかる点もデメリットです。

インプラント治療が向いている人、向いていない人

インプラント治療が適しているかどうかは、患者さんの口腔内の状態や全身の健康状態によります。以下に向いている人と向いていない人の特徴をまとめます。

インプラントが向いている人

  • 顎骨が十分にあり、骨質が良好な方
  • 他の歯が健康で、不正咬合がない方
  • 定期的に歯科健診を受け、口腔ケアに積極的な方

インプラントが向いていない人

  • 骨粗鬆症などの骨の疾患がある方
  • 糖尿病などの慢性疾患があり、治癒能力が低い方
  • 歯磨きを怠るなど、口腔ケアが十分にできない方

【動画】前歯へのインプラント埋入

 

まとめ

インプラント治療は、他の歯の支えを必要とせずに自立して行うことができます。ブリッジのように健康な歯を削って被せ物をしたり、部分入れ歯のようにバネを引っ掛けたりすることもありません。残された健康な歯に負担を掛けないので、支えとなっている歯を長持ちさせることも十分可能です。

見た目に関しても、違和感なく周りの歯にしっくりと馴染みますし、インプラントが安定すれば、しっかり噛むことができるため、食事も楽しくできるようになります。また、よく噛むことで、栄養の消化吸収を高めたり、噛む刺激が脳の活性化にも影響を与えるなど健康への影響も高くなります。

しかし、インプラントは優れた治療でもありますが、デメリットやリスクがあることも事実です。他の治療も含めてそれぞれの特徴をよく把握した上で、治療を決めていくことが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

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