インプラント

インプラント治療が向いている人・向いていない人とは?

インプラント治療が向いている人・向いていない人とは?

歯を失ってしまった場合の選択肢の一つとしてインプラント治療があります。しかし、インプラントは全ての患者さんに適しているわけではありません。「インプラント治療が向いている人・向いていない人」についてご説明します。

インプラント治療とは?

インプラントの構造

インプラントとは、失った歯の代わりに人工歯根(チタン製のネジ)を顎の骨に埋め込み、その上に被せ物を装着する治療法です。固定式のため、入れ歯のように外れる心配がなく、天然歯のような噛み心地を得られるのが特徴です。

インプラント治療のメリット

  • 天然歯に近い噛み心地:しっかりと固定されるため、違和感が少ない。
  • 周囲の歯に負担をかけない:ブリッジのように隣の歯を削る必要がない。
  • 骨の吸収を防ぐ:顎の骨に刺激が伝わり、骨が痩せるのを防ぐ。

その一方で、デメリットもあります。

インプラント治療のデメリット

  • 手術が必要:顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術を伴う。
  • 治療期間が長い:骨と結合するまでの時間を含めると数ヶ月〜1年以上かかる場合も。
  • 費用が高い:保険適用外であり、他の治療法に比べると費用がかかる。

では、どのような患者さんがインプラント治療に向いているのでしょうか?

インプラント治療が向いている人

インプラント

1. 顎の骨がしっかりしている人

  • インプラントを支えるためには十分な骨量が必要。
  • 骨が少ない場合は「骨造成」という処置が必要になることも。

インプラントを顎の骨にしっかり固定するためには、十分な骨量が必要です。顎の骨が少ないと、インプラントが安定せず、長期間持続させることが難しくなります。骨が足りない場合は「骨造成」という追加の手術が必要になることがありますが、それでも骨の状態によってはインプラントが適応できない場合もあります。事前の精密検査でしっかりと診断してもらうことが重要です。

2. 全身の健康状態が良好な人

  • 糖尿病や高血圧などの慢性疾患がコントロールされていることが重要。
  • 重度の持病がある場合、治療が難しいことも。

インプラント治療は外科手術を伴うため、全身の健康状態が治療の成功に大きく関わります。糖尿病や高血圧などの慢性疾患がある場合、それらの疾患が適切にコントロールされていれば問題ありませんが、重度の持病がある場合は、治癒が遅れる可能性があり、インプラントが定着しにくくなることもあります。主治医や歯科医と相談しながら、最適な治療法を検討することが大切です。

3. 歯磨き習慣がしっかりしている人

  • インプラントは天然歯と同じように歯垢が溜まる。
  • しっかりとした歯磨きができないと、インプラント周囲炎のリスクが高まる。

インプラントは人工物ですが、天然歯と同じようにケアが必要です。特に、インプラント周囲炎という感染症を防ぐためには、日々の歯磨きや定期的な健診が欠かせません。歯磨き習慣がしっかりしていないと、細菌が増殖し、インプラントの寿命が短くなってしまう可能性があります。そのため、歯科衛生士の指導を受けながら、適切な口腔ケアを継続できる人がインプラントに向いています。

4. 喫煙しない、もしくは禁煙できる人

  • 喫煙はインプラントの成功率を下げる。
  • 術後の治癒が遅くなるため、禁煙を推奨。

喫煙はインプラントの成功率を大きく下げる要因の一つです。タバコの煙に含まれる有害物質は、歯茎の血流を悪化させ、術後の治癒を妨げます。また、インプラントの定着にも悪影響を及ぼし、長期間持たない可能性があります。インプラント治療を成功させるためには、治療前後の禁煙が推奨されます。喫煙習慣がある方は、禁煙を検討することが望ましいでしょう。

5. 精神的に安定しており、治療に対する理解がある人

  • インプラント治療は時間がかかるため、途中で諦めないことが大切。
  • 定期的なメンテナンスが必要なので、継続的に通院できる人が向いている。

インプラント治療は、通常の歯科治療よりも期間が長く、手術やメンテナンスも必要です。そのため、途中で治療を諦めたり、メンテナンスを怠ったりすることのないよう、治療に対する理解があり、継続的に通院できる方が適しています。特に、インプラントは長期間のメンテナンスが必要なため、定期的に歯科医院でのチェックを受ける意欲があることも大切な条件となります。

以上の条件を満たしている患者さんは、インプラント治療を受けることで快適な口腔環境を得られる可能性が高いです。

インプラント治療が向いていない人

インプラント

1. 顎の骨が極端に少ない人

  • 骨が足りないとインプラントが固定できない。
  • 骨造成手術が必要な場合があるが、それでも難しいことも。

顎の骨が不足していると、インプラントを埋め込むことができません。骨造成手術を行うことで補うことは可能ですが、それでも骨の状態によってはインプラントが適応できない場合もあります。特に、高齢の方や長期間歯を失った状態が続いた方は、骨の吸収が進んでいる可能性が高いため、事前の精密検査が重要になります。

2. 重度の歯周病がある人

  • 歯周病によって歯茎や骨がダメージを受けていると、インプラントが定着しにくい。
  • まずは歯周病治療を行うことが優先。

歯周病が進行している場合、歯茎や顎の骨が大きなダメージを受けている可能性があります。インプラントを埋め込んでも、周囲の骨が弱っているとしっかり固定されず、長持ちしにくくなります。そのため、まずは歯周病治療を行い、口腔環境を改善してからインプラント治療を検討することが望ましいです。

3. コントロールされていない持病がある人

  • 糖尿病が進行していると傷の治りが遅くなり、インプラントの成功率が下がる。
  • 骨粗しょう症の薬を服用している場合、骨の状態によっては治療が難しいことも。

糖尿病や高血圧などの持病がある方は、適切に管理されている場合は問題ありませんが、コントロールされていないと術後の治癒が遅れたり、感染リスクが高まったりする可能性があります。主治医と連携しながら治療計画を立てることが必要です。

4. 喫煙をやめられない人

  • 喫煙はインプラントの定着を妨げる。
  • 喫煙習慣があると、術後の感染リスクも高まる。

喫煙はインプラントの成功率を著しく低下させる要因の一つです。タバコに含まれる有害物質が歯茎の血流を悪化させるため、インプラントの定着が難しくなります。また、喫煙は免疫力を低下させるため、術後の感染リスクが上昇し、治療後のトラブルが増える可能性があります。特に、長期間の喫煙習慣がある方は、インプラント周囲炎などの炎症を引き起こしやすくなり、インプラントの寿命を短くすることもあります。インプラント治療を受ける場合は、治療前後の禁煙を強く推奨します。

5. 定期的なメンテナンスに通えない人

  • インプラントはメンテナンスを怠ると、周囲炎を引き起こし、最悪の場合、抜け落ちることも。
  • 継続的なケアが難しい人は、他の治療法を検討するのが無難。

インプラントは一度埋め込んだら終わりではなく、長期的に維持管理が必要な治療法です。定期的なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎を引き起こし、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。特に、歯磨きの習慣が不十分な方や、忙しくて歯科医院に通えない方は、インプラントの維持が難しくなります。長くインプラントを快適に使い続けるためには、定期的なメンテナンスを受け、専門的なクリーニングを行うことが重要です。歯科医師の指導のもと、しっかりとした口腔ケアを継続できるかどうかを検討しましょう。

 

これらの項目に該当する場合は、他の治療法(入れ歯やブリッジ)を選択する方が良いかもしれません。

まとめ

インプラント治療は、多くのメリットがある一方で、誰にでも適した治療ではありません。

インプラントが向いている人の特徴

  • 顎の骨がしっかりしている
  • 全身の健康状態が良好
  • しっかりとした歯磨き習慣がある
  • 喫煙しない、もしくは禁煙できる
  • 治療に対する理解があり、継続できる

インプラントが向いていない人の特徴

  • 顎の骨が極端に少ない
  • 重度の歯周病がある
  • 持病がコントロールできていない
  • 喫煙をやめられない
  • 定期的なメンテナンスに通えない

「インプラントを考えているけれど、自分に向いているのかわからない」という方は、一度歯科医院で相談してみることをおすすめします。ご自身の状態を正しく把握し、最適な治療方法を選びましょう!

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック