マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の装置を使用して歯並びを整える矯正方法です。その目立たなさや取り外し可能な利便性から、多くの患者さんに選ばれています。しかし、他の矯正方法と同様に、マウスピース矯正にもデメリットが存在します。
マウスピース矯正のデメリット
以下のようなマウスピース矯正のデメリットについて一つひとつご説明していきます。
- 装着時間の自己管理が必要
- 適応できない症例がある
- マウスピースの紛失や破損のリスク
- マウスピースのお手入れが必要
- 治療期間中の違和感や発音への影響
- 奥歯の噛み合わせへの影響
- 歯根吸収のリスク
- 歯の側面を削る必要がある場合がある
- 治療費用が高額になる可能性
1. 装着時間の自己管理が必要
マウスピース矯正のインビザラインでは、1日22時間以上の装着が推奨されています。食事や歯磨きの際には取り外す必要があるため、その後の再装着を忘れてしまうと装着時間が減ってしまい、矯正効果が減少する可能性があります。自己管理が苦手な方にとっては、この点が負担となるかもしれません。
2. 適応できない症例がある
マウスピース矯正は、すべての不正咬合に対応できるわけではありません。特に、重度の叢生(歯の重なり)や顎変形症などの複雑な症例では、ワイヤー矯正や外科的治療が必要となる場合があります。
治療を開始する前に、歯科医師と十分に相談し、ご自身の症例に適した矯正方法を選ぶことが重要です。
3. マウスピースの紛失や破損のリスク
取り外し可能なため、マウスピースを紛失したり破損したりするリスクがあります。特に食事中や外出先での取り扱いには注意が必要です。紛失や破損が発生すると、新たに作製するための時間と費用がかかり、治療期間が延びる可能性もあります。外した時には専用のケースに入れて保管することをお勧めします。
4. マウスピースのお手入れが必要
長時間装着していると、マウスピース内に歯垢が溜まりやすくなります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。毎日の歯磨きに加えて、マウスピース自体をきれいに洗うことも欠かせません。専用の洗浄剤や柔らかいブラシを使って、常に清潔な状態に保つことが求められます。
5. 治療期間中の違和感や発音への影響
マウスピース装着初期には、お口の中に違和感を感じたり、発音がしづらくなったりすることがあります。特に「サ行」や「タ行」の発音に影響が出る場合がありますが、多くの場合、時間とともに慣れて解消されます。しかし、職業柄滑らかに話すことが必要な方にとっては、この点がデメリットとなる可能性があります。
6. 奥歯の噛み合わせへの影響
マウスピース矯正中、一時的に奥歯の噛み合わせが悪くなるケースがあります。これは、マウスピース装着時に奥歯が歯茎の方向に押し込まれる力が働くためです。その結果、奥歯が沈み込み、マウスピースを外した際にしっかりと噛めなくなることがあります。この現象は徐々に改善されることが多いですが、必要に応じて追加の治療が行われる場合もあります。
7. 歯根吸収のリスク
矯正治療全般に言えることですが、歯を動かす過程で歯根が短くなる「歯根吸収」が起こる可能性があります。これは、歯に圧力をかけることや治療期間の長期化が影響していると考えられています。ほとんどの場合、歯が抜けたり寿命が縮まることはありませんが、定期的な健診で歯根の状態をチェックすることが重要です。
8. 歯の側面を削る必要がある場合がある
歯を移動させるスペースを確保するために、健康な歯の側面を削るIPRという処置が必要になることがあります。これは、抜歯を避けるための措置として行われることが多いですが、歯を削ることに抵抗がある方にとってはデメリットと感じられるかもしれません。削る量は通常数ミリ程度で、歯の健康に大きな影響を及ぼすことは少ないとされています。
9. 治療費用が高額になる可能性
マウスピース矯正は、使用する装置の種類や治療計画によって費用が変動します。特に、複雑な症例やマウスピース以外の追加の装置が必要な場合、費用が高額になることがあります。
- マウスピース矯正は、保険適用外であることが一般的です。そのため、患者さん自身が全額負担するケースが多く、予算の面で負担に感じる場合があります。
- 紛失や破損時には、追加でマウスピースを作製する費用が発生する可能性もあるため、予算には余裕を持っておくことが推奨されます。
- 分割払いや治療費を抑えるための割引キャンペーンを提供している場合もあります。事前に料金体系をしっかりと確認することが大切です。
デメリットを理解した上で治療を検討しよう
マウスピース矯正には、目立たない見た目や取り外しの自由さなど多くのメリットがある一方で、自己管理の必要性や適応症例の制限など、デメリットも存在します。
治療を始める前に、以下の点をチェックすることが重要です。
- 自分の生活習慣や性格に合っているか
- 自分の症例がマウスピース矯正で治療可能かどうか
- 費用や治療期間に無理がないか
歯科医師としっかり相談し、自分に最適な矯正方法を選びましょう。
まとめ
マウスピース矯正は、多くの患者さんに人気がある一方で、デメリットもしっかりと理解しておく必要があります。特に装着時間や自己管理の徹底が求められるため、ご自身の生活スタイルに合った治療方法かをよく検討することが重要です。
また、矯正中はマウスピースの洗浄や歯磨きを怠らないこと、歯科医院での定期的な健診を受けることが大切です。