矯正歯科

ゴボ口は歯列矯正するべきなの?

ゴボ口は歯列矯正するべきなの?

ゴボ口を歯列矯正で治療すべきか、悩まれている方は治療法をお探しでしょう。ゴボ口の原因、見た目や機能への影響、治療方法について詳しくご紹介いたします。

ゴボ口とは

ゴボ口や口ゴボとは、横から見た時に上顎と下顎が前にもこっと突き出しているように見える顔貌を指します。お顔の審美性の診断に用いるのがEラインで、鼻先と顎先を結んだラインより上唇、下唇とも外に出る場合、上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)と専門的に呼びます。一般的に出っ歯と言われる上顎前突や歯並びがデコボコしている叢生(そうせい)などの不正咬合が原因でも、ゴボ口ではないかと相談に来られる患者さんもおられます。口元が前方に突出しているため、唇を閉じるのに力が必要だったり、表情が硬く見えたり、見た目の印象を気にしてコンプレックスを抱えてしまう方が多いです。

ゴボ口になる原因

では、ゴボ口になる原因についてご説明します。ゴボ口の原因を理解できると、より適切な治療法を選ぶことができる手助けとなります。歯並びはいいけれど口元が出ている方も矯正治療を行うことで改善が見込めるケースがあります。

歯並びや噛み合わせの問題

出っ歯(上顎前突)や反対咬合(受け口)などの不正咬合があると、口元が前に出るように見えることがあります。また、歯のサイズが通常より大きいと、通常の顎の大きさでは歯が綺麗に並ぶスペースがなく、角度が前へ傾き、口元に影響が出る可能性は考えられます。

骨格の問題

上顎や下顎の骨格が出ていることが原因で、口元全体が突出していることがあります。幼少期に固い食べ物を噛んでいないと顎を成長させることができません。骨格の場合は遺伝という可能性もあるので矯正治療での治療が難しいケースも多いです。

生活習慣や癖

舌で前歯を押す、指しゃぶり、爪を噛むなどの癖や口呼吸など日常で行う癖を態癖(たいへき)と呼びますが、態癖は前歯の一定部分に力がかかり、ゴボ口の原因となることがあります。

歯の本数が多い

永久歯は親知らずを除き合計28本生えてきます。歯が通常より多く生えてしまう過剰歯の場合、顎のスペースが不足するため、前歯部が押されて突出することがあります。

唇や皮膚が厚い

唇や鼻の下などの口周りの下の皮膚が通常より厚い場合、薄すぎる場合も口元が突出していると見られがちです。

ゴボ口が与える見た目と機能への影響

ゴボ口は見た目の他に、口腔機能へさまざまな影響を与える可能性があります。

見た目への影響

まず、顔のバランスの問題が挙げられます。横顔を見た時に口元が突出していると、全体のバランスが崩れて見えることがあります。ゴボ口の方は、口周りの筋肉が緊張しやすい状態で、口元に力を入れがちです。無意識に口周りの筋肉に力が入り、梅干しじわなどがとれず、疲れて見えることから老け顔に見られます。

機能への影響

機能面での問題として挙げられるのが下記のようなものです。

口呼吸やいびきのリスク

口元の突出により、唇が閉じにくく、口呼吸が習慣化することがあります。口呼吸が習慣化すると舌の位置が通常より奥に下がってしまうことから、いびきをかきやすい状態になります。

発音への影響

「さ行」は前歯と舌の摩擦音が重要で、歯並びが悪く息が漏れてしまうと発音しにくいです。「た行」は舌先を上顎の前歯近くに付けなければならない音であるため、上顎が出ていると発音しづらいです。「ま行」は一度口を閉じなければならないため、口を閉じるために力が必要な方には支障が出る場合があります。

虫歯や歯周病のリスク増加

噛み合わせや歯並びが悪いとどうしてもきれいに掃除が出来ず、磨き残しが増えます。食べかすや歯垢(プラーク)を除去できなければ虫歯や歯周病のトラブルが起きやすくなります。

歯列矯正で治すメリットやデメリット

歯列矯正はゴボ口を改善するための効果的な方法ですが、矯正におけるメリットとデメリットを理解したうえで治療を開始することが大切です。治療のメリットがデメリットを上回ると判断できれば、矯正を検討する価値があります。

メリット

  • 突出した口元が引っ込み、横顔や正面のバランスが整う
  • 歯並びや噛み合わせが良くなることで発音や食事がスムーズになる
  • 歯並びが整うと歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが減少する
  • 見た目の改善により笑顔や会話する口元に自信が持てる

デメリット

  • 矯正期間は動的治療と静的治療が必要となり、年単位の長期間にわたる
  • 保険適用外の自由診療であるため、費用が高額になる
  • 矯正器具の装着による痛みや違和感を感じる
  • 通院を定期的に行わなければならない

歯列矯正での治療法と流れ

ゴボ口を治すための矯正治療には、いくつかの方法があります。治療の方法は患者さんの症状や原因によって異なります。

主な治療法

矯正装置としてワイヤーブラケットと、マウスピースがあります。

ワイヤー矯正

ブラケットを歯面に接着し、そのブラケットにワイヤーを通して矯正力をかけて歯を動かします。付ける位置によって印象や費用が変わり、多くの不正咬合で矯正することができます。

  • 表側に銀色のワイヤーを通し費用が安い普通矯正
  • 表側に白色のワイヤーを通し遠くの人には見えにくいホワイトワイヤー矯正
  • 裏側に銀色のワイヤーを通し接客業の方でも見た目にはわからない舌側矯正

マウスピース矯正(インビザライン)

透明の目立ちにくいマウスピースを交換していくことで矯正する方法です。ご自身で取り外し可能であるため、食前に外してお食事を楽しむことができますが、不正咬合の種類によってはワイヤーと併用したり、ワイヤーをオススメする場合があります。

外科的矯正

骨格的な原因が大きい場合は、外科手術を行います。当グループではカトレア歯科・美容クリニックで行っているセットバック手術があります。4番目の歯と骨の部分を抜き、前歯部を後方へ引っ込める治療です。

矯正治療を行う際には、歯を動かすためのスペースが必要です。まだ永久歯へ生え変わっていない子供の場合は顎の発達をコントロールしてスペースを確保できます。永久歯の歯へ生え変わっている方は、スペースを確保するために抜歯を行う場合があります。特に顎が狭い方に効果的です。

治療の流れ

ゴボ口の歯列矯正について当院での流れをご説明します。

1.初診相談

患者さんのお口の状態についてお悩みを伺い、歯科医師の診断を行い、矯正の必要性や治療方法を説明します。

2.精密検査と治療計画の作成

矯正治療を開始する場合、レントゲンや型取りで口腔内を検査して、具体的な治療計画を立てます。

3.矯正器具の装着

ワイヤーやマウスピースを装着し、歯並びを少しずつ整えるために矯正力をかけます。

4.定期調整

定期的に矯正装置が合っているか調整を行い、歯を適切な位置へ移動させます。

5.動的治療終了と保定装置の装着

矯正治療の動的治療が終了した後はリテーナー(保定装置)を使用し、歯並びを安定させます。

ゴボ口は自分で治せるものではありません。無理やり自己判断で行おうとすると、歯の破折や他のトラブルが起きるリスクがあります。必ず歯科医院で治療を受けましょう。

まとめ


ゴボ口の特徴や原因から矯正治療の必要性、具体的な治療法までをご紹介しました。ゴボ口は見た目のみではなく、噛み合わせや口腔機能にも影響を与えるため、診断された場合は早めの治療をおすすめします。歯科医師に相談して最適な治療法を選び、美しい笑顔と健康な口元を手に入れましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック