歯の被せ物(クラウン)の材料としてのセラミックの中でも、比較的安価なのがセレッククラウンです。セレッククラウンについてご説明します。
セレッククラウンとは何ですか?
セレックは、白いセラミックを使った歯科治療を手軽に、通常のセラミック治療よりも安価で受けられるように開発された、新しい治療システムです。
医療先進国のドイツで開発されたCAD/CAMシステムで、従来の治療の工程とは違い、虫歯治療の型取りを終えた後、歯形データをパソコンに読み込ませ、歯科技工士が3D画像を見ながら歯の修復物を設計します。
そのデータを元に専用の器械(ミリングマシン)でセラミックのキューブをクラウン、またはインレーの形に削っていきます。器械が製作しますので、コストを抑えて高精度な修復物が作れます。
セレックの特徴
審美歯科で白いセラミックのクラウン(かぶせ物)での治療を出来るだけ安価で受けたいというご希望におこたえするのが、セレックの本来得意とするところです。その他にも様々な特徴があります。
自然な歯の色で審美性に優れている
上質なセラミックのキューブを削って歯を作るため、天然歯に近い自然な白さで目立ちません。ただし、オールセラミック、ジルコニアセラミックと比べると色数が少ないため、本来の歯の色と合わない場合もあります。そのためセレッククラウンは前歯には推奨しておりません。
金属アレルギーの心配がない
コンピューターによって設計を支援された様々な技術を駆使してセラミックのキューブで歯冠を製造します。そのため金属アレルギーの心配がありません。
セレッククラウンは長もちする
セラミックは歯垢や歯石がつきにくいため、劣化しにくく白さを長期間保ちやすいです。
また、セレックではコンピューターの3D画面上で修復物を設計し、専用の器械でセラミックを加工するため、精度の高い最適な歯を作ることができます。
セレックに使われるセラミックブロックは企画生産されており高い耐久性をもっています。
費用をかなり抑えてセラミック治療ができる
セレッククラウンは、オールセラミック、ジルコニアセラミックと比べるとかなり費用を抑えることが出来ます。ただし、セレッククラウンはブリッジには対応しておりません。
セレッククラウンの治療の流れ
ステップ1 金属、虫歯の除去
虫歯で初めて被せ物(クラウン)をする方は、虫歯を削ります。金属の被せ物をセレックに替えたい方は、今入っている金属を取り外します。この時にセラミックのブロックとの色合わせも行います。
ステップ2 歯型データを取る
当院では従来通りのトレーと印象剤で歯型を取り、石膏をスキャンしたデータをパソコンに読み込ませます。
ステップ3 3Dソフトでセラミックの補綴物をデザインする
歯型のデータをもとに、コンピュータソフトが詰め物、被せ物を自動的にデータ上で作ってくれます。それを歯科技工士が微調整し、最適な形にデータ上で設計していきます。
ステップ4 データ通りにブロックを削り・研磨する
歯のデータが完成すると、セラミックのブロックから歯をデータ通りに削り出してくれる
未リングマシンという器械にセットし、削り出しをスタートさせます。
ステップ5 研磨、修正をする
削り終わった補綴物は、表面がざらざらしています。それを歯科技工士が丁寧に研磨し、ツルツルに仕上げ、形を整えます。
ステップ6 お口の中にセット
歯科医師がセラミックのクラウンを患者さんのお口の中にセットします。歯の高さが合っていてきちんと上下の歯が噛み合うかを調整して、患者さんが違和感を感じない状態になるよう確認します。
セレッククラウンがお勧めなのはどういう方ですか?
- 安価なセラミック治療を希望している方
- クラウン(かぶせ物)が破損して交換が必要な方
- 銀歯を白いセラミックに変えたい方
セレッククラウンの残存率
セレックに使われているセラミックブロックは高品質なものです。そのため耐久性が
高く長持ちします。
メーカーの発表によると、15年後の残存率を調べた臨床研究では、通常の治療では約68%なのに対して、セレック治療では約93%と非常に高い結果を出しています。
このように、セレッククラウンはヨーロッパ、アメリカを中心に修復物の製作に使用され、1000万件以上の症例数と20年にわたる実績を持つ安心と信頼の歯科用機器です。
セレッククラウンに関するQ&A
セレッククラウンは、ドイツで開発されたCAD/CAMシステムを利用して作られる、白いセラミック製の歯冠(かぶせ物)のことを指します。コンピュータで設計し、専用機械でセラミックを削り出すことで、コストを抑えた高精度な歯冠を製造することができます。
はい、セレッククラウンは天然の歯に近い自然な白さです。しかし、色数が少ないため、本来の歯の色と完全に合わない場合もあります。
セレッククラウンはセラミック製なので、金属アレルギーの心配はありません。
セレッククラウンは、高品質なセラミックブロックを使用するため、耐久性が高く長持ちします。メーカーの発表によると、15年後の残存率は約93%と非常に高い結果を出しています。
セレッククラウンは、審美歯科治療や、クラウンの交換が必要な症例、銀歯を白いセラミックに変えたいという希望がある症例などに用いられています。
まとめ
セレッククラウンの登場により、クラウンの納期が短縮され、治療が早く終わるようになりました。セレッククラウンは自費診療になりますが、従来のセラミッククラウンと比べると安価に治療が受けられます。
ただし、セレッククラウンは微妙な色合わせを行うことが出来ない為、精密な色合わせが必要な前歯には向きません。小臼歯や奥歯の治療にはよく使われています。