歯磨きは虫歯や歯周病の予防のために大切ですが、歯を磨きすぎると歯や歯茎を傷めてしまい、新たな問題が起こってきます。歯の磨きすぎについてご説明します。
歯を磨きすぎる理由
歯を磨きすぎて歯を傷める方には共通した磨き方がありますので、ご紹介します。下記の特徴が複合的に起こっている場合もあります。
長時間歯を磨きすぎる
時間をかけて歯みがきすればきれいになると思って、テレビを見ながら歯を磨いている方がおられますが、長すぎる歯磨きは歯を傷めます。
歯ブラシが硬すぎる
「かため」の歯ブラシを使っているため、歯茎や歯に強い刺激を与えてしまっている方がおられます。歯ブラシは歯茎に炎症がない方は「ふつう」を使いましょう。歯肉炎がある方は「やわらかめ」を選びましょう。
力を入れて磨きすぎる
力を入れて歯や歯茎をゴシゴシ磨いていませんか? 刺激が強すぎると歯や歯茎を傷める原因になります。力の入れすぎかどうかは、歯ブラシの毛のすり減りが早すぎることで気づくことが出来ます。
歯を磨きすぎるとどうなるの?
歯を磨きすぎると、歯面と歯茎が刺激によって傷つきます。その結果起こる代表的な問題は以下の3つです。
- 知覚過敏
- 歯茎の退縮
- 歯茎の退縮によって象牙質が露出し虫歯のリスクが上がる
1.知覚過敏
歯の表面を擦り過ぎると、エナメル質が擦り減ってしまい、部分的に象牙質が露出します。象牙質が表に出てしまうと、刺激が神経に伝わりやすくなり、歯に風に当たったり、冷たい飲み物が歯に当たったり、歯ブラシが当たったりすると鋭い痛みが起こります。
知覚過敏の痛みは長時間継続することはありませんが、しばしば痛むことがあるため、患者さんにとってはかなりの苦痛です。
しみ止めの歯磨き剤やレジン(歯科用プラスチック)でのコーティングなどで痛みを止めることが出来ます。
2.歯茎の退縮
歯ぐきに強い刺激が加わると、歯茎が退縮して減っていき、歯が長くなったように見えます。歯周病によっても歯茎の退縮が起こります。
歯茎の退縮で起こるのは、①知覚過敏②虫歯です。
①知覚過敏
歯茎が減ってしまうために、今まで歯茎の中に埋まっていた象牙質が露出します。象牙質の露出は知覚過敏を起こします。
②虫歯
象牙質が露出すると、象牙質はエナメル質よりも柔らかいので、虫歯のリスクが高まります。虫歯にならないよう、露出した象牙質にレジンでのコーティングを行う場合もあります。
歯の磨きすぎに関するQ&A
歯を磨きすぎると、知覚過敏、歯茎の退縮、象牙質の露出による虫歯のリスク上昇などの問題が起こります。
歯ブラシが硬すぎると、歯茎や歯に強い刺激を与えてしまい、傷つける可能性があります。適切な硬さの歯ブラシを選ぶことが大切です。
歯ぐきに強い刺激が加わると、歯茎が退縮して減少し、歯が長く見えるようになります。歯周病も歯茎の退縮を引き起こす原因となります。
まとめ
定期健診で歯の磨きすぎだと指摘された方は、即刻正しい歯磨き方法に変えましょう。歯ブラシも「かため」を使っておられた方は「ふつう」か「やわらかめ」に買い替えましょう。歯に良いと思ってしっかり歯磨きした結果、歯や歯茎を傷めてしまうことがありますので、ぜひ正しい方法でのブラッシングをマスターしましょう。