歯周病は日本人の歯を失う原因の第一位です。特に中高年の世代になると、歯周病で歯を失う方が徐々に増えてきます。歯周病は若いうちから予防をして早期発見出来れば、適切な治療を受けられますので、悪化させずに歯を失うことがありません。歯周病の早期発見が大切な理由についてご説明します。
歯周病の早期発見が大切な理由
歯周病の初期段階は、歯肉に炎症が起こって赤くなったり、歯磨きすると出血したりはしますが、痛みなどの自覚症状がほとんどありません。歯周病は本人が気づかないうちに進行するため、「サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)」とも呼ばれます。
歯周病の初期の段階であれば、毎日のセルフケアを丁寧に行うことや、歯科医院での定期健診(クリーニング)を行うことで歯茎を健康な状態に戻せます。
しかし、歯周病は知らず知らずのうちに進行してしまうので、気付いた時には歯周組織のダメージが進行していて、取り返しがつかない状態になっていることが少なくありません。
歯周病の発見が遅れると、失われた歯茎の組織や骨はもう元に戻りませんので、できるだけ早い段階から予防と治療を行うことが大切です。
歯周病チェックで自己診断してみよう
まずは、チェックリストで自己診断してみましょう。当てはまる項目が多いほど要注意ですので、セルフケアや定期健診を徹底しましょう。特に「赤信号」に一つでも当てはまったら、すでに歯周病が進行している可能性があります。早めに歯科医院で定期健診を受けましょう。
◆歯周病チェック:黄信号
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
- 歯磨きの時や硬いものをを食べると、歯肉から血が出る
- 歯肉が赤黒く、押すとブヨブヨしている
- 硬いものを噛む時、歯が頼りない感じがする
- 歯の根が露出している
- 冷たいものや甘いものがしみる
- 煙草を吸う
◆歯周病チェック:赤信号
- グラグラしている歯がある
- 歯が伸びて長くなったように見える
- 歯と歯の間に隙間があいてきた
- 歯肉から膿が出る
- 歯の噛み合わせがおかしくなった
- 歯を磨いても口臭がきついといわれることがある
歯周病の初期症状は歯肉炎
歯と歯肉の境目に歯垢や歯石がたまって、歯肉にのみに炎症が起こっている初期段階を「歯肉炎」と呼びます。
炎症が歯周組織の深い部分へと広がった状態を「歯周炎」といい、「歯肉炎」と「歯周炎」を総称して「歯周病」と呼びます。
歯肉炎でわずかに歯茎が腫れている状態では、自分で気づくことが難しいため、つい見逃してしまうことが多いです。しかし歯科医院での定期健診を受けていただいていれば、歯科衛生士は僅かな炎症を見逃すことはありませんので、この段階で早期発見して治療に入ることが可能です。
歯周病の原因は歯垢と歯石
歯周病の原因は歯磨きで取り残した歯垢です。歯垢は単なる食べカスではなく、歯周病菌などの細菌の塊です。わずか1mgのプラークには約1億もの細菌が棲みついているといわれます。
歯垢は最初はやわらかいため歯磨きをていねいに行えばある程度取り除くことが出来ます。しかし除去できないまま時間がたってしまうと、唾液中のカルシウムと結合して石灰化し、2週間程度で歯石になります。
歯石は歯磨きでは落とせません。そして歯石の表面はザラザラしていて歯垢がつきやすく、さらに歯周病菌が増殖しやすい環境になります。
歯垢や歯石が歯周ポケット内に出来ると、もはやセルフケアで除去することは出来ませんので、除去するためには歯科医院での定期健診(クリーニング)が必要になります。
歯周病の早期発見に関するQ&A
歯周病の進行具合をチェックするためには、以下の項目に注目します。
1.グラグラしている歯があるかどうか
2.歯が伸びて長くなったように見えるかどうか
3.歯と歯の間に隙間があいてきたかどうか
4.歯肉から膿が出るかどうか
5.歯の噛み合わせがおかしくなったかどうか
6.歯を磨いても口臭がきついといわれることがあるかどうか
歯周病の早期発見は重要です。初期段階では痛みや自覚症状がほとんどなく、進行してしまうことがあります。早期に気付いた場合、毎日のセルフケアや定期健診により歯茎を健康な状態に戻すことができます。しかし、発見が遅れると歯周組織のダメージが進行し、取り返しのつかない状態になることがあります。
歯周病の初期症状は「歯肉炎」と呼ばれ、歯と歯肉の境目に歯垢や歯石がたまって、歯肉に炎症が起こっている状態です。この段階ではわずかな腫れがあり、自己で気づくことは難しい場合があります。
まとめ
歯周病によって歯茎や骨が破壊されてしまうと、炎症が改善しても失われた組織そのものは元に戻せません。そのため初期の段階で適切な治療を受けられるように、早期発見が大変重要になります。
歯周病の予防・治療のためには適切なセルフケアを毎日行い、1年に2~4回程度の定期健診(クリーニング)を受けるようにしましょう。