全身疾患の持病をお持ちの方は、インプラント手術が受けられない場合があります。糖尿病の持病がある方はインプラント治療が可能かどうかについてご説明します。
糖尿病と口腔内の関係性
糖尿病になると、唾液の分泌量が減るため、口腔内が乾燥しやすくなります。そのため唾液による抗菌作用が低下し、細菌が繫殖しやすくなります。
糖尿病にかかると免疫力が低下するので、歯周病になりやすく、治りにくくなる傾向にあります。
糖尿病は歯周病とも深い関係があります。炎症を起こした深い歯周ポケットからは、炎症を引き起こす化学物質が血管を経由して体内に放出されます。
炎症を引き起こす化学物質は、血液中に入り込むとインスリンの効果を低下させてしまい、歯周病は糖尿病を悪化させてしまう原因と言われています。
糖尿病とは?
糖尿病は、インスリンが不足したり、作用が低下したりすることで、血糖値が高くなる病気です。そして、骨が弱くもろくなりやすく、免疫力が低下します。
インスリンは、膵臓で作られるホルモンであり、血液中に含まれているブドウ糖やアミノ酸といった栄養素を細胞に取り込む働きがあります。
インスリンが足りなかったり、数はあってもきちんと働かないようであれば、食べ物を口にしても、体内に栄養素を取り込むことが難しくなってしまいます。これによって、さまざまな悪影響が起こってしまいます。
糖尿病の問題点
ケガをした時などに生じる傷口の治りが悪くなること
インスリンの産生量の不足や機能不全を起こすことで、細胞が必要とするだけの栄養や酸素を受け取ることが出来なくなるからです。
細胞の栄養・酸素不足が生じることで、傷を治す能力が低下してしまいます。
免疫細胞(白血球など)が栄養や酸素不足により、十分に活動することができなくなります。ケガや手術など皮膚や粘膜に穴があいてしまう、その時に防いでくれるのが免疫細胞です。
糖尿病の方のインプラントに関するQ&A
糖尿病は、インスリンの不足や作用低下によって血糖値が上昇する病気で、骨の脆弱化や免疫力の低下も特徴です。インスリンは膵臓で作られ、栄養素の細胞への取り込みを調節します。
糖尿病患者におけるインプラント治療の適応は、糖尿病の管理状態や全身健康状態により異なります。適切なケアと専門医の判断が必要です。糖尿病の影響を考慮し、治療計画が調整されることが重要です。
糖尿病では唾液分泌が減少し、口内が乾燥しやすくなります。唾液の抗菌作用が低下し、細菌の繁殖が促進されます。また、糖尿病による免疫力低下は歯周病のリスクを高めます。
まとめ
身体の細胞が糖尿病により、飢餓状態になると傷の治りが悪くなったり、細菌感染を起こしやすくなったりします。インプラント治療は、外科手術(外科処置)になるので糖尿病のリスクは無視できません。そのため、重度の糖尿病の方はインプラント治療を受けることが出来ないこともあります。
しかし、それほど重症化していなくて、歯周病の治療と血糖値のコントロールがうまくできていれば、インプラント治療も十分可能になります。糖尿病の治療をしている方がインプラント治療を希望する場合、糖尿病治療の担当医と綿密な連携をとる必要があります。