タバコはさまざまな病気の原因となっており、歯周病を進行させるばかりでなく治癒を遅らせるリスクがあるといわれています。タバコが歯周病にどのような影響を与えるのかをご説明していきます。
目次
喫煙による悪影響
口腔内の歯周組織は、喫煙による能動喫煙だけでなく受動喫煙・三次喫煙でも次のような悪影響を受けてしまうことがわかっています。
- 喫煙により、血管を収縮させ免疫細胞の働きを低下させます。
- 歯茎の血行が悪くなることで歯周病にかかりやすくなります。
- 歯周病が口臭の原因の一つにもなります。
受動喫煙による周囲への影響
タバコから直接吸い込む主流煙よりも、その周りの人が間接的に吸い込む副流煙の方が毒性は高いです。
タバコの煙を長時間吸入することで、直接的に口腔内の組織に障害を及ぼすだけではなく、肺胞を通して有害物質が体内に入り込むことによって、体の抵抗力にも障害をおこします。
非喫煙者であっても、タバコの煙を受動喫煙しないよう注意が必要です。親が喫煙者の場合、受動喫煙により子供の歯周病や歯肉のメラニン色素沈着のリスクが高まることもわかっています。
歯肉が老化してしまう
誰でも年をとれば、タバコを吸わなくても歯肉は老化していきます。
しかし、タバコを吸うことでビタミンCが消費され、さらに老化を早めてしまいます。
歯肉の老化について、喫煙者は非喫煙者に比べて10~20年も老化が進んでいると言われます。歯肉は老化することで痩せていきます。歯肉が痩せれば歯周病のリスクも高まります。
残存物質による「三次喫煙」にも要注意
タバコを消した後のタバコの残留物がある場所に行くことで、残留物質を受動喫煙することを三次喫煙と言います。
三次喫煙は、受動喫煙以上の悪影響があると言われています。タバコの残留物は、何週間も何か月も残るため、その環境で生活する場合は受動喫煙よりもゆっくり時間をかけて、発がん性物質を吸い込んだり、皮ふから吸収したりすることになります。
タバコの煙の中には何が含まれているのか?
タバコの煙の中には、数千種類の化学物質が含まれています。その中には、ニコチンや発癌性物質などの有害物質も多く含まれます。
タバコの煙の三大有害成分と身体への影響
- ニコチンには血管収縮作用があります。そのため歯茎からの出血が抑えられ歯周病であることに気付きにくくなり、歯周病が重症化してしまいます。
- タールはタバコの葉が燃える際に発生する黒褐色液体で、歯の表面に沈着する「ヤニ」のことです。タールは粘質性が高いため、歯面や気管や肺などにくっつくと、体外に排出されにくくなるという厄介なものです。
- 一酸化炭素はニコチンとともに身体の免疫を低下させます。そのため歯周病は悪化し、治療しても歯茎が治りにくくなります。
- タバコの葉が燃える際に不完全燃焼を起こすと一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合しやすいので血液に十分な酸素を運ぶことができなくなって酸欠状態を起こしてしまいます。酸欠状態が続くと頭痛やめまいが起こります。
タバコが歯周病の進行を促す要因
タバコは口から吸いますので、体の中で最初に喫煙の影響を受ける部分が口になります。タバコの煙や成分は口腔内に入ると有害物質が粘膜や歯茎から吸収されて血液循環が悪化し、十分な酸素が全身の細胞にいきわたらなくなります。その結果歯周ポケットの中で歯周病の原因となる細菌が繫殖しやすくなります。
ニコチン等の有害物質が体内に入ると免疫力が低下することで細菌感染による炎症が起こりやすくなります。喫煙すると体内のビタミンCがかなり消費されるので、さらに免疫機能が低下してしまいます。
また、ニコチンは血管収縮作用や血流障害を起こすため歯茎の炎症が抑えられてしまい、腫れや出血が現れにくくなって歯周病が進行していることに気付くのが遅れてしまいます。
タバコのタール成分の付着が、歯周病の原因となるプラークや歯石をさらに付きやすくしてします。喫煙者は白血球数が多く、タバコの各種成分が白血球を刺激して、身体にできている炎症を強くしてしまいます。
タバコの煙を長時間吸入することで、直接的に口腔内の組織に障害を及ぼすだけではなく、肺胞を通して有害物質が体内に入り込むことによって、体の抵抗力を障害します。
タバコはなぜ歯周病に悪いのかに関するQ&A
タバコは、ニコチンやタールなどの有害成分が含まれ、これらが歯周病の進行を促進します。ニコチンによる血管収縮は歯肉出血を抑え、歯周病の症状を見逃す可能性があります。タールの付着や一酸化炭素の影響も歯周病悪化に寄与します。
タバコは口から吸入され、口腔内で有害成分が吸収されて血液循環が悪化します。これにより歯周ポケット内で細菌が増殖しやすくなり、歯周病が進行します。また、免疫力の低下やビタミンCの消費も炎症や感染リスクを高めます。
ニコチンは血管収縮作用を持ち、歯茎の出血を抑えて歯周病の進行を見逃しやすくします。タールは歯に付着し、粘性が高いため排出が難しくなります。一酸化炭素は免疫を低下させ、歯周病を悪化させる一因となります。
まとめ
タバコの中にはニコチン、タール、一酸化炭素などの有害な物質が含まれています。タバコの煙や成分は粘膜や歯ぐきから吸収されて全身に様々な症状を引き起こします。
タバコを吸わない人も、受動喫煙や三次喫煙により悪影響を受け可能性もありますので、生活環境には十分に気を付けましょう。
禁煙することで歯周病のリスクが下がることが研究でわかっています。いきなり禁煙は無理でも、減煙を心がけるようにしてみてはいかがでしょうか。