歯科医院では、様々な装置を使って成人矯正が行われています。大人になるともう歯並びが出来上がってしまっていますので、歯を動かすスペースが全くないのが普通です。そのため、歯をきれいに並べるために歯列を横に拡大したり、小臼歯を抜いたりして歯が動くスペースを作ります。
矯正を始めると、装置の調整や交換時に多少の痛みや締め付け感を感じ、装置によっては歯みがきもしにくくなりますが、それでも矯正治療には大きなメリットがあります。そして、同時に気をつけなければいけない点(デメリット)もあります。
矯正治療を始める前に、気をつけて確認しておいた方が良いことを以下にまとめます。
目次
大人の矯正のデメリット(注意点)を確認する
大人の矯正には多くのメリットがある反面、気をつけなければならないこともあります。
1.治療中に虫歯、歯周病のリスクがある
矯正治療では歯を動かすために装置を歯に装着する必要があります。装置を取り付けると、歯磨きがしにくくなって歯垢がたまり、虫歯や歯周病になることがあります。虫歯や歯周病は口臭の原因にもなります。
これらのリスクは、大人の矯正に限ったことではありません。小児矯正においても虫歯のリスクはありますので、矯正治療中は今までよりも丁寧に歯ぶらしやデンタルフロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシ等を使って毎日のセルフケアを行う必要があります。
2.歯茎が下がったり歯根が吸収するリスクがある
大人の歯は子どもと比べると動きにくいため、歯を動かす時に力がかかり、その結果として歯茎が下がったり歯根が吸収されてしまったりすることがあります。ただし前歯だけの部分矯正では動かす歯の本数と動かす距離が少ないため、これらのリスクは軽減されます。
3.子どもと比べると期間が長くかかる
子供は歯周組織が柔らかいので歯が動きやすいのですが、大人は一般的に歯が動きにくいです。そのため理想的な位置に歯を動かすためにはどうしても長い期間が必要になります。
マウスピース矯正(インビザライン)の患者さんであれば、LEDによる近赤外線(850nm)ライトを当てることで骨や神経・皮膚の活性化を起こし、矯正治療をスピードアップさせる装置(別売品)が使えます。自宅で毎日行え、矯正治療を快適にします。
大人の矯正の装置にはどんなものがあるのか確認する
矯正装置には様々なものがあります。患者さんの歯並びの状態だけでなく、生活習慣によっても最適な装置が変わってきます。
一般的に使われるものは歯にワイヤーとブラケットという矯正装置を取り付けるものですが、近年マウスピース型の矯正装置が良く使われるようになりました。マウスピース型の矯正装置には様々な種類がありますが、当院では不正咬合の難症例への対応の可能性が高いインビザラインを採用しています。
歯の裏側にワイヤーとブラケットを取り付ける裏側矯正も人気があります。歯に付ける装置以外に、歯を早く動かすために特殊なバイブレーションが発生する装置を併用する方法もあります。
矯正にかかる費用を確認する
費用についても治療前にしっかりと確認しておきましょう。
- 初診相談時に費用がかかる。か
- 検査料が必要かどうか。検査料はいくらか。
- 診断料が必要かどうか。
- 抜歯をした時に費用はかかるか
- 矯正治療費には何が含まれているのか
- 通院した時に費用は発生するか
- 分割払いが出来るか
- 医療費控除が受けれるか
治療開始前に見積書をもらった場合は、その内容についてしっかりチェックしましょう。見積書に記載されている金額以外に料金がかかるのかどうかは、とても重要な点です。
大人の矯正のメリットを確認する
1.歯並びが整うことで見た目が美しくなる
歯並びがきれいになって見た目が美しくなることが歯列矯正の大きなメリットです。今まで口元にコンプレックスがあって歯を見せて笑うことが出来なかった方も、堂々と笑えるようになります。
2.虫歯や歯周病にかかりにくくなり、口臭も減る
個人差はありますが、40代以降になると徐々に歯列や歯と歯茎の間に段差が出来るようになってきます。これは加齢のせいでもありますので、ある程度は仕方のないことなのですが、それによって歯みがきをしても磨き残しが多くなり、虫歯や歯周病のリスクが高まり、口臭も発生するようになります。
歯並びが良くなることで、歯みがきがしやすくなり、歯垢がたまりにくくなって虫歯や歯周病の予防につながり、口臭も防ぐことができます。
これからの人生をより素敵に過ごす
歯の矯正は、単に見た目を良くするためだけのものではありませんが、多くの患者さんにとって出っ歯や叢生などの「口元のコンプレックスの解消」が治療を始めた大きな動機になっていることは事実です。
長年気になっていた口元のコンプレックスが解消することで気持ちが明るく前向きになったり、積極的に会食を楽しめるようになったり、人前に出ていくのが楽しくなったりと、
矯正治療を終えた患者さんには様々な変化が見られます。
一つ共通しているのは、どの患者さんも歯並びをきれいに治したことをきっかけに、
人生を楽しめるようになられたということです。矯正治療はこれからの人生をより価値のあるものにするためのきっかけになってくれます。
大人の矯正で気を付けることに関するQ&A
大人の矯正治療では、歯の動きにくさや虫歯、歯周病のリスクに注意が必要です。適切な歯みがきやセルフケアを徹底し、専門家の指導に従うことが重要です。
大人の矯正の主なメリットは、歯並びが整って見た目が美しくなることです。これにより、以前のコンプレックスが解消され、自信を持って笑顔を見せることができるようになります。
大人の矯正のデメリットとして、治療中に虫歯や歯周病のリスクが高まることや、歯茎が下がったり歯根が吸収される可能性があることが挙げられます。
まとめ
大人は子供よりも歯が動きにくいため、気を付ける点がいくつかあります。大人の矯正には様々なデメリットがありますが、逆にメリットもたくさんありますので、一つひとつの項目をしっかり確認して気を付けるべきことを見定めましょう。