虫歯はどうして出来るのでしょうか?虫歯の原因はお口の中のミュータンス菌が歯垢などに含まれる糖分を餌にして酸を出し、歯を溶かすというものです。虫歯について詳しくご説明します。
虫歯は何が原因でできる?
人間の唾液にはおよそ500~700もの細菌が住み着いていると言われます。その中の一つ、ミュータンス菌(正式名称:Streptococcus mutans)が虫歯を引き起こす原因の菌です。一般的に虫歯菌といえばこのミュータンス菌のことをいいます。
赤ちゃんはこの菌を持って生まれませんが、周りに虫歯の方がおられると、スキンシップにより虫菌がうつり、菌を保有してしまいます。ただ、ミュータンス菌が虫歯を作るためには、糖を栄養としますので、お口の中に糖が少ない状態では虫歯になりにくいといえます。
通常、口腔内がpH6.7位の中性に近い状態でずっと保たれていれば、虫歯になりません。歯磨きは食べかすや歯と歯の間のつまりを取り除く清掃の手段ですが、それ以外に口腔内のpHの状態を中性に戻すという役目もあります。
どんな状態になると菌は虫歯を作る?
人間が生きていくうえで、食事は必要です。糖の含有がない食べ物をずっと摂れば、虫歯を引き起こしにくいですが、糖を含有する食べ物は甘いおやつだけではありません。ご飯、パン、麺類、肉や魚、野菜や調味料、カレールウに至るまで、糖を含有しています。
ミュータンス菌の餌になるのが、砂糖・ブドウ糖(単糖類)や、ショ糖(二糖類)などの糖類です。人間が食べ物を摂取すると、ミュータンス菌は食べ物の糖を取り込み、粘着性の高いグルカンという物質を作ります。
グルカンはネバネバしているため歯に付着しやすく、そこにミュータンス菌や他の菌も付着します。食後に歯磨きを行わなければ、歯の表面のミュータンス菌はどんどん増殖し、歯垢(プラーク、バイオフィルムとも呼びます)や歯石を棲みかにして酸を作り、歯を溶かし続けます。
虫歯になると歯が溶けるのはどうして?
歯は、エナメル質、象牙質、歯髄という3種類の構造で成り立ちます。エナメル質とは歯の外側を覆う表面の白い部分で、人体の中で大変固い組織と言われています。そんな固い組織に穴が開くのは疑問に感じられるでしょう。
- 歯磨きを強くし過ぎた
- 固い食べ物を噛んだ
このような日々のダメージで、歯のエナメル質にはミクロの傷が幾つも付いています。傷ついた歯に虫歯菌が出す酸が付着すると、口腔内は酸性(pH5.5位)に傾きます。それにより、エナメル質の内部にあるハイドロキシアパタイトやミネラル成分が少しずつ溶け出し、脱灰と呼ばれる状態になります。
やがて、エナメル質の部分に白濁した箇所が出来ます。それが、初期虫歯(要観察歯・C0)です。健康な歯の色はややクリーム色ですが、虫歯になると歯質の脱灰が起き、歯は透明感や輝きを損ない、白濁します。
初期虫歯は削って治療する必要はありませんが、このような状態の虫歯を長い間放っておくと、虫歯は進行し、歯に穴があいてしまいます。虫歯が大きくなると治療の際に削る部分も大きくなり、治療が長引いたり治療費が高くなったりします。
虫歯を悪化させないためには、定期的に歯科へ通院し、ご自分の歯の状態を知ることが大切です。
お家で出来る虫歯予防を教えて
虫歯は毎日の生活習慣である程度予防できます。歯に穴があいた部分は自然治癒しませんが、それ以外の歯を虫歯にしない、あるいは初期虫歯を進行させないことは可能です。
- 正しい歯磨きの方法を身につける
- しっかりと唾液を出す
- 虫歯菌の栄養となる糖分を控えめにする
- フッ素配合の歯磨き粉を使用する
- 歯科医院で定期健診を受ける
虫歯にならない為にいますぐ出来ることは、歯みがきでしっかりと歯垢を取り去り、お口の中の菌を減らすことです。エナメル質の再石灰化を促すために唾液を出すことも意識しましょう。
予防歯科で虫歯予防
に毎日しっかりと歯を磨いていても、虫歯になってしまうことがあります。それは、歯と歯の間や歯周ポケットの中の歯垢や歯石は、通常の歯磨きできれいに除去することが難しいからです。一般的に親知らずの周囲や、歯並びが悪く歯が重なっている部分も歯みがきがしにくく、虫歯になりやすいです。
そのため歯科医院では、3ヶ月に一度程度の定期健診で歯のクリーニングを受けて頂くことをおすすめしています。その際に、磨き残しが多い部分や、その部分の磨き方を歯科衛生士から患者さんにお話します。
また、ご自宅でのケアの際には、歯垢を効果的に落とすためにデンタルフロスや歯間ブラシやワンタフトブラシも使用して頂くと効果的で、多くの患者さんにお使い頂いています。
まとめ
虫歯はミュータンス菌が糖を代謝して作り出した酸によって歯が溶ける病気です。ミュータンス菌はどんな時に酸をつくり出すのか、歯はなぜ溶けるのかなど、虫歯予防に対する知識が身につけていただき、予防につとめましょう。