矯正歯科

インビザラインは歯が動くのが遅い?

インビザラインは歯が動くのが遅い?

インビザラインは、透明なマウスピースを用いた矯正治療法ですが、治療中に「歯が動くのが遅いのではないか」と感じる方もおられます。インビザライン治療における歯の動きの速度や、その要因、対処法についてご説明します。

インビザラインとは

インビザライン

インビザラインは、患者さん一人ひとりの歯型に合わせて作成された透明なマウスピースを使用する矯正治療法です。従来のワイヤー矯正とは異なり、目立ちにくく、取り外しが可能であるため、食事や歯磨きの時の制限がなく、普段通りに行えることが大きなメリットです。しかし、歯の動きの速度や実感には個人差が生じることがあります。

歯の動きが遅いと感じる主な要因

インビザライン治療中に歯の動きが遅いと感じる主な要因として、以下の点が考えられます。

装着時間の不足

インビザラインのマウスピースは、1日20時間以上の装着が推奨されています。装着時間が短いと、計画通りに歯が動かない可能性があります。特に、食事や歯磨きの後に装着を忘れることが多いと、歯の移動に支障が出ることがあります。

マウスピースの適切な装着

マウスピースが歯にしっかりとフィットしていない場合、効果的な力が加わらず、歯の動きが遅れることがあります。フィット感を確認し、必要に応じて「チューイー」を使用することで効果が向上します。

治療計画の問題

初期の治療計画が適切でない場合、予想以上に歯の動きが遅くなることがあります。特に、計画に誤差が生じた場合、追加のマウスピースの作成が必要となることがあります。

セラミックの差し歯の影響

セラミック製の差し歯がある場合、アタッチメントが外れやすくなる可能性があります。その結果、矯正装置が歯に十分な力を伝えられず、治療が遅れる原因になることがあります。また、差し歯の材質や接着状態によっても影響が異なり、事前の診断と調整が重要です。

同じ歯でアタッチメントが何度も外れてしまう場合は、担当医の判断で、外れたままで治療を続けることもあります。その場合、アタッチメントの部分のマウスピースが少し浮いた感じになる場合がありますので、担当医と相談しながら治療を進める必要があります。

マウスピースをなくしてしまった

インビザライン

マウスピースを外した時に誤って紛失してしまうと、次の装着までに時間がかかるため、治療計画が大幅に遅れることがあります。特に、再作成や再発注が必要な場合は、その期間中に歯の動きが止まってしまうことがあります。マウスピースはなくさないように、外した時は必ず専用のケースに入れるようにしましょう。

アンキローシスを起こしている歯があった

アンキローシスは、何らかの理由で歯と骨の間の歯根膜が失われ、歯根と歯槽骨が癒着してしまっている状態です。歯根膜はクッションの役割を果たしており、食事のときに食べ物の固さによって噛む力を調節してくれます。

アンキローシスを起こしている歯があると、その歯は装置による矯正力をかけても動きませんので、それが分かった時点で治療計画を変更しなければなりません。

歯根膜が失われる原因には、事故などでその部分に強い衝撃を受けたことが考えられますが、心当たりのない場合は、もしかしたら子供時代に転倒して強く当たってしまったことがあるかもしれません。

アンキローシスは矯正治療前にはわからないことも多いため、特定の歯でマウスピースがはまりにくい、逆に浮いてしまうなどがあれば、担当医にお知らせください。

個人差

年齢や代謝、骨の硬さなど、個々の生理的要因によっても歯の動きの速度は異なります。特に、骨密度が高い場合は、歯の移動に時間がかかることがあります。

歯の動きを促進するための対策

歯の動きを促進し、治療効果を高めるためには、以下の対策が有効です。

装着時間の遵守

時間

1日22時間以上の装着を心がけ、食事や歯磨きの時間以外は常にマウスピースを装着しましょう。特に、装着時間をアプリなどで管理する方法が効果的です。

チューイーの使用

マウスピースをしっかりと歯にフィットさせるための専用の道具「チューイー」を使用することで、効果的な力を歯に伝えることができます。「チューイー」は柔らかい素材で作られており、噛むことでマウスピースをしっかり装着させる補助役を果たします。

定期的な歯科医師との相談

治療中に不安や疑問が生じた場合は、早めに担当の歯科医師に相談し、適切なアドバイスや調整を受けることが重要です。特に、アタッチメントの状態や装着のフィット感について確認してもらうことで、治療の精度が向上します。

生活習慣の見直し

バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけることで、代謝が活発になり、歯の動きが促進されることがあります。特に、カルシウムやビタミンDの摂取は骨のリモデリングに有効です。

光加速装置PBMヒーリングの使用

PBMヒーリングは、歯と歯茎に赤外線を当てて歯周組織を活性化させ、矯正治療での歯の動きを促進させます。その結果、歯が速く動いてマウスピースの交換までの日数が短縮され、治療を早く終わらせることが出来ます。

歯が動きやすい人の特徴

歯の動きやすさには個人差がありますが、以下の特徴を持つ人は比較的歯が動きやすいとされています。

新陳代謝が活発な人

代謝が良いと、歯周組織のリモデルリングが活発に行われ、歯が動きやすくなります。特に、若年層は代謝が活発で、治療がスムーズに進む傾向があります。

医師の指示を守る人

マウスピースの装着時間や交換時期など、医師の指示をきちんと守ることで、計画通りに歯が動きます。指示通りの管理を怠らないことで、トラブルを防ぐことができます。

悪習慣がない人

舌で歯を押す、頬杖をつく、口呼吸をするなどの悪習慣がない人は、歯が正しい方向に動きやすいです。これらの習慣を改善することが、治療全体の効率を高めます。

歯を動かすスペースがある人

歯列に適切なスペースがあると、歯の移動がスムーズに進みます。抜歯が必要な場合や、スペース不足が見られる場合は、追加の処置が必要になることがあります。

治療効果を実感するまでの期間

インビザライン治療の効果を実感できるまでの期間は個人差がありますが、一般的には以下の通りです。

早い場合

治療開始から約2ヶ月で変化を感じることがあります。これは、歯が比較的動きやすい人に多いケースです。

平均的な場合

3~6ヶ月で歯の動きを実感する方が多いです。この期間内に、小さな改善が見られることがモチベーションにつながります。

遅い場合

1年ほどかかることもあります。この場合、焦らずに治療を続けることが重要です。特に、骨の硬さや装着時間の不足が影響していることがあります。

このように、効果を実感するまでの期間には個人差があるため、治療の進行状況を歯科医師と共有しながら進めることが大切です。

まとめ

インビザライン治療において、歯の動きが遅いと感じる場合には、装着時間や生活習慣を見直すことが重要です。また、セラミックの差し歯が治療に影響を与える場合もあるため、事前に歯科医師と相談し、適切な対応を行うことで治療効果を高めることができます。

インビザラインは、根気強く取り組むことで理想の歯並びを実現できる治療法です。装着時間などのお約束を遵守し、定期的に医師と相談しながら進めることで、計画通りに歯が動いていきます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック