歯と口のトラブル

口呼吸を治すにはどんな方法があるの?

口呼吸を治すにはどんな方法があるの?

口呼吸は虫歯や歯周病、風邪やアレルギーといった健康リスクが高まることが指摘されています。また、姿勢や体全体のバランスにも影響を与えるため、長期的な健康を考える上で、口呼吸を鼻呼吸へと改善することをおすすめします。口呼吸の問題点とその原因、効果的な治療法やトレーニング方法についてご説明します。

口呼吸の問題点とリスク

口呼吸は多くの人が無意識に行っている呼吸方法ですが、健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

口呼吸をすると口腔内が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、口から吸入された空気は鼻呼吸よりも浄化されにくいため、風邪やアレルギーを引き起こしやすくなることがあります。

さらに、口呼吸は姿勢にも影響を及ぼし、長期的には体の歪みや肩こり、腰痛などの原因にもなり得ます。鼻呼吸はこれらのリスクを回避するためにも重要です。

口呼吸の原因とは?

口呼吸の原因には様々なものがあります。鼻炎などのアレルギー性疾患があると鼻が詰まるため、やむなく口で呼吸しているうちに、日常的に口呼吸をするようになってしまうケースがあります。

鼻呼吸をせずに口を開けて呼吸をしていると、唇を閉じるための筋肉が衰え、更に口呼吸が定着する悪循環となります。

また、幼少期からの習慣や生活環境も影響します。例えば、哺乳瓶やおしゃぶりの長期間使用、常に柔らかい食べ物を食べていることなどが、口の筋肉の発達を妨げ、口呼吸の原因となることがあります。

口呼吸を治すためのトレーニング方法

口呼吸を改善するためのトレーニング方法は、主に口の周りの筋肉を強化し、舌の位置を正しくすることで、自然と鼻呼吸に導くことを目的としています。以下は、具体的なトレーニング方法についてさらに詳しく解説します。

1. 唇を閉じる力を高めるトレーニング

口呼吸の改善には、唇をしっかりと閉じる力が必要です。この力を鍛えることで、無意識に口が開いてしまうことを防ぎます。

唇でペンを挟む

まず、唇でペンや薄い物を挟み、その状態を5~10分間保ちます。このトレーニングは唇を閉じる力を強化し、口を閉じる習慣をつけるのに効果的です。

唇エクササイズ

唇をぎゅっと閉じ、その状態を数秒間保持した後、ゆっくりと緩めるという動作を繰り返します。これを1日に何度か行うことで、唇周りの筋肉が鍛えられます。

2. 舌の位置を正すトレーニング

正しい舌の位置は、口呼吸の改善にとって大変重要です。舌が正しい位置にあると、自然と鼻呼吸に変わり、口呼吸が減少します。

舌を上顎に当てる練習

舌の先端を上前歯の裏側に軽く当て、その状態を保ちながら、舌全体を上顎に貼り付けるようにします。これを1回につき3~5分間行い、1日に数回繰り返します。このトレーニングは舌の筋肉を強化し、舌の正しい位置を保つ習慣をつけるのに役立ちます。

ミューイング法

ミューイング(Mewing)は、舌全体を上顎に密着させることで、鼻呼吸を促すというメソッドです。この方法は舌だけでなく、姿勢、腹筋にも注意して行うことで、舌を正しい位置に置くことを習慣づけます。舌を常に上顎に密着させることで、自然と口呼吸を防ぐことができます。

3. 呼吸法のトレーニング

正しい呼吸法を身に付けることは、口呼吸を治すための基本です。腹式呼吸などのトレーニングを行うことで、深い呼吸ができるようになり、鼻呼吸が習慣化します。

腹式呼吸

仰向けに寝て、腹部に手を置きます。鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませます。その後、口を閉じたまま鼻から息を吐き、お腹をへこませます。これを1回につき5~10回繰り返します。腹式呼吸を習慣化することで、鼻呼吸が自然とできるようになります。

ストロー呼吸

ストローを使った呼吸法も効果的です。ストローを口にくわえ、鼻から息を吸い込みます。その後、ストローを通してゆっくりと息を吐きます。この練習は呼吸をコントロールし、口呼吸を減少させる助けとなります。

4. 唇を閉じたままの姿勢を意識する

日常生活の中で、唇を閉じたままにする意識を持つことが大切です。普段から口が開いてしまう癖がある場合、意識的に口を閉じるように心掛けることで、口呼吸を防ぐことができます。

鏡を使った確認

鏡を使って、自分の姿勢を確認します。特にリラックスした状態でも唇が閉じているかどうかをチェックします。この習慣を続けることで、口呼吸が減少し、自然と鼻呼吸ができるようになります。

口呼吸防止テープの使用

寝ている間に無意識に口呼吸をしてしまう人には、口呼吸防止テープの使用が効果的です。テープを唇に貼って寝ることで、夜間の口呼吸を防ぎます。

トレーニングを始めたばかりの頃は、すぐに効果を感じないかもしれませんが、継続することが重要です。毎日少しずつでも取り組むことで、徐々に口呼吸が改善され、鼻呼吸が習慣化します。また、定期的にトレーニングの成果をチェックし、必要に応じて方法を見直すことも大切です。

専門的な治療方法

口呼吸が改善されない場合、専門的な治療が必要になることがあります。

マウスピースでの治療

プレオルソとT4K

子供の舌の位置を正常にし、舌や頬、唇の筋肉の発育を促進させるために、専用のマウスピースで治療を行うことが出来ます。

装置の種類には「プレオルソ」、「T4K」などがあり、昼間の1時間と寝ている間に柔らかい素材でできたマウスピースをお口に入れるだけです。

これらのマウスピースでの治療は小児矯正に分類され、保険がきかない自由診療となります。

鼻やのどの手術

鼻中隔の湾曲や扁桃腺肥大など、身体的な問題がある場合は、手術による改善が考えられます。

鼻呼吸を促す生活習慣の改善策

口呼吸を改善するためには、生活習慣の見直しも重要です。

室内の湿度

室内の湿度を適切に保ち、空気清浄機を使用することで、鼻の通りが良くなり鼻呼吸がしやすくなります。

食生活と水分補給の見直し

健康な鼻呼吸を維持するためには、バランスの取れた食事と十分な水分補給が不可欠です。特に、ビタミンやミネラルを含む食品を摂取することで、鼻の粘膜の健康を保つことができます。

ストレス管理とリラックス

ストレスが溜まると呼吸が浅くなり、口呼吸に陥りやすくなります。深呼吸や瞑想などのリラックス法を取り入れ、ストレスを軽減することが大切です。

まとめ

口呼吸は健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ早期に改善することが望ましいです。唇や舌のトレーニング、呼吸法の見直し、そして生活習慣の改善を継続的に行うことで、鼻呼吸への移行が可能です。専門的な治療が必要な場合もありますが、まずは日常的な取り組みから始めてみることをお勧めします。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

▶プロフィールを見る

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック