乳歯は2歳半~3歳頃に生え始め、すき間がなくきれいに生えていたのに、4~6歳頃になると、すきっ歯の状態になることがあります。これは子供の顎が成長して永久歯が生える準備を行っているからで、乳歯列期のすきっ歯は自然に起こることで問題はありません。子供の乳歯のすきっ歯、永久歯のすきっ歯についてご説明します。
乳歯期とは
乳歯期は、一般的に生後6ヶ月頃から6歳頃までを指します。この期間、子供には20本の乳歯が生えて来て、それらは6歳~12歳頃に順番に永久歯に置き換わっていきます。乳歯の健康は、正しい噛み合わせの形成と発音や滑舌、咀嚼機能の発達に大きく関わっています。
乳歯にすきっ歯が生じる原因
乳歯列期(3~6歳)と永久歯に生え変わる混合歯列期(6~12歳頃)に、一時的にすきっ歯になることがあります。しかし、これは自然な成長の過程で起こるものなので殆どの場合は問題がありません。
1. 遺伝的要因
子どもの歯並びや顎の形状は、遺伝によって大きく影響を受けることがあります。親や近親者にすきっ歯の傾向がある場合、子どもにも同様の特徴が現れる可能性があります。これは、歯の大きさや顎の骨格が遺伝的に決定されるためです。
2. 癖や習慣
子どもの癖や習慣は、歯並びや顎の成長に影響を与え、すきっ歯の原因となることがあります。
指しゃぶりやおしゃぶり
長期間にわたる指しゃぶりやおしゃぶり、長期間の哺乳瓶の使用などの癖や習慣は、前歯に圧力をかけ、前方に突出させることがあります。
口呼吸
鼻呼吸ができない子どもは常に口を開けて呼吸しており、これが顎の成長に影響を及ぼして、すきっ歯を引き起こすことがあります。
3. 栄養不足
適切な栄養は、子どもの身体全体の健康だけでなく、歯の健康にとっても重要です。特に、カルシウムやビタミンDなどの栄養素は、健康な歯の発育に不可欠です。栄養不足は歯や顎の正常な成長を妨げ、結果としてすきっ歯の一因となることがあります。
4. 歯の大きさと顎のサイズの不一致
子どもの歯の大きさが顎のサイズに対して小さい場合、自然と歯と歯の間にスペースが生じ、すきっ歯が見られることがあります。これは、特に永久歯が生え変わる過程でよく見られる現象です。
5. 成長と発達の過程
子供の成長過程において、一時的にすきっ歯が見られることがあります。これは、永久歯が生えて来る前の過程で発生する自然な現象であり、多くの場合、特別な治療を必要としません。
乳歯のすきっ歯の特徴
乳歯のすきっ歯は、子供の成長段階でよくあることです。
1. 見た目の特徴
乳歯のすきっ歯は前歯と前歯の間に生じます。この隙間は、笑った時や話している時に目立つことがあります。乳歯のすきっ歯は複数の歯にわたって均等に分布していることもありますが、永久歯に生え変わる前の一時的なものですので、多くの場合、心配する必要はありません。
2. 噛み合わせへの影響
すきっ歯は、子供の歯の噛み合わせに影響を与える可能性があります。これにより、一時的にうまく噛めない状態になったり、言葉の発音がしにくくなることがあります。
3. 一時的な現象として起こる
多くの場合、乳歯のすきっ歯は子どもの成長過程に自然に発生します。乳歯にすきっ歯が起こるのは、永久歯は乳歯よりも大きなスペースを必要とするために、顎が大きくなっていくことが理由です。このようなすきっ歯は、永久歯が生え揃う過程で自然に解消されることが多いです。
4. 永久歯の配置が予測できる
乳歯にすきっ歯が存在することで、永久歯が適切な位置に生えるためのスペースが確保されます。しかし、歯と歯の間の隙間が広すぎる場合や不規則な場合は、永久歯が一列に生えることが出来ず、将来的に矯正治療が必要となる可能性があります。
5. 栄養不足による健康状態
栄養不足は乳歯の発育に影響を及ぼし、すきっ歯の原因となることがあります。特に、カルシウムやビタミンDなどの栄養素が不足している場合、歯や顎の発育が妨げられることがあります。
乳歯のすきっ歯には、様々な原因と特徴があります。それぞれのケースに応じて適切な対応が必要になりますので、定期的に歯科健診を受けて、家庭でのケアを注意深く行いましょう。
乳歯のすきっ歯への対応策
すきっ歯に対する早期の対応は、子どもの口腔健康を守る上で非常に重要です。
早期発見と予防
定期的な歯科検診により、早期に問題を発見し、適切な予防策を講じることができます。
専門家による治療方法
必要に応じて、矯正治療などの専門的な介入が行われます。
乳歯のすきっ歯で気を付けること
歯の隙間に食べ物が挟まって虫歯になりやすい
乳歯はもともと柔らかく、虫歯になりやすく進行も早いです。歯と歯の間に隙間があると、そこに食べ物のカスが挟まりやすく、汚れが落ちにくい状態になります。
歯ブラシだけでなく、子供用フロスを使って歯と歯の間の汚れを丁寧に取り除きましょう。
仕上げ磨きを続けよう
子供が小さい間は親が仕上げ磨きを行いますが、子供の虫歯を予防するためには、永久歯が生え揃う12歳くらいまで仕上げ磨きを行うことをおすすめします。
子供が仕上げ磨きを嫌がるかもしれませんが、乳歯や生えたばかりの永久歯はエナメル質がやわらかいため、生え変わりの時期の仕上げ磨きは大切です。
混合歯列期のすきっ歯
混合歯列期とは乳歯から永久歯への生え変わり時期で、お口の中に乳歯と永久歯の療法が存在しています。永久歯に生え変わる前に、顎が大きく成長し、永久歯が一列に並ぶためのスペースを作ります。乳歯は永久歯よりも小さいため、一時的にすきっ歯になりますが、永久歯に生え変わっていくにつれ、この隙間は自然に閉じていきます。
永久歯のすきっ歯
乳歯のすきっ歯は、永久歯への生え変わりの準備のために自然な成長過程として起こるため、殆どの場合で心配は要りません。しかし、永久歯が生え揃ったのに依然としてすきっ歯になっている場合は、すきっ歯の程度によっては治療が必要になります。
永久歯のすきっ歯の原因
永久歯がすきっ歯になる原因の代表的なものは以下の3つです。
- 舌癖、指しゃぶりなどの癖や習慣・・意識して舌や唇や指しゃぶりなどの癖を直しましょう。
- 歯の本数が少ない(先天性欠如歯)・・遺伝的な原因が考えられます
- 歯のサイズが小さい(矮小歯)・・遺伝的な原因が考えられます
子供のすきっ歯の原因と特徴に関するQ&A
乳歯にすきっ歯が生じる原因には、遺伝的要因、癖や習慣、栄養不足、歯の大きさと顎のサイズの不一致、成長と発達の過程などが含まれます。遺伝や指しゃぶり、口呼吸などの習慣、適切な栄養摂取の不足が影響を与えることがあり、特に永久歯が生え変わる過程で顎が成長するために自然に起こる現象でもあります。
乳歯のすきっ歯は、子供の成長過程で自然に起こることが多く、特に前歯と前歯の間に生じます。見た目には隙間が目立つことがあり、噛み合わせや発音に一時的に影響を与えることがあります。このすきっ歯は多くの場合、永久歯が生え揃う過程で自然に解消されますが、広すぎる隙間や不規則な場合は矯正治療が必要になることがあります。
乳歯のすきっ歯への対応策には、早期発見と予防、専門家による治療方法の選択が含まれます。定期的な歯科検診を受けて早期に問題を発見し、必要に応じて矯正治療などの専門的な介入を行います。また、子供用フロスを使って歯と歯の間の汚れを丁寧に取り除き、仕上げ磨きを続けることが重要です。
まとめ
乳歯列期のすきっ歯は、乳歯から永久歯に生え変わるまえに顎が大きく成長することで自然に起こります。永久歯が生えて来ると自然に歯と歯の間の隙間は閉じますので、ご心配には及びません。ただし、永久歯が生え揃ってもすきっ歯になっているケースでは、治療が必要な場合がありますので、歯科を受診しましょう。
子供のすきっ歯の原因と特徴について、以下のような知見が得られています。
1. [Popovich & Thompson, 1979] この研究では、16歳の時点でのすきっ歯の有無に関連する特徴を調査しています。その結果、一般的なスペースの存在がすきっ歯と関連していることが示されました。また、9歳時点でのすきっ歯と16歳時点でのスペースの存在にも関連性が認められました。
2. [Nuvvula et al., 2021
この研究では、12歳未満の子供のダイアステマの原因を調査しています。結果として、すきっ歯の最も一般的な原因は過剰歯であり、次いで口唇のフレナムの形態や鼻呼吸の凝縮が挙げられました。
結論として、子供のすきっ歯の原因として一般的なスペースの存在や過剰歯、フレナムの形態などが挙げられます。これらの原因に応じた対応や治療が必要です。