現代人に急増するドライマウスとは?
ドライマウス(口腔乾燥症)は唾液の分泌が低下して口が乾いている症状のことですが、
広い意味では口が乾いていると自覚する症状のすべてを指すことになります。
ドライマウスは高齢になるほど患者数が増える傾向が見られ、日中はあまり口や喉の乾燥を
感じない方も「夜中にトイレに起きた時に口が渇いている」
「朝起きた時に口が渇いている」とおっしゃる方が多いです。
逆にドライマウスであっても口や喉の渇きに気づかない方もおられます。
しょっしゅう水分を摂っている方や、食事の時にお茶などで食べ物を流し込むようにして
食べている方は、唾液があまり出ていなくて口が渇いていることに気づきません。
口の渇きは身体の様々な不調の原因になります。特に唾液が少ないと虫歯や
歯周病になりやすいので、注意が必要です。
口の中が渇く4つの原因
口の中が乾燥してしまう原因として、よくあるものは以下の4つです。
1.加齢
シニアにドライマウスが多いのは、加齢によって唾液を分泌する機能が低下することが原因としてあげられます。
唾液の質が変わって口の中が粘つくような感じのする方もおられます。この粘つきもドライマウスの症状の一つです。
2.薬の副作用
シニアの中には高血圧の薬を常用しておられる方がおられますが、高血圧の薬の
副作用として唾液の分泌が低下するということが起こります。
それ以外にもドライマウスを引き起こす副作用のある薬はたくさんあります。
3.ストレス
大きなストレスにさらされて交感神経優位の状態で生活していると、
副交感神経が優位の時に分泌されるサラサラの唾液が出にくくなります。
そのため口の中が粘つくように感じられ、中には
ストレスで唾液の分泌量が減る方もおられます。
4.口呼吸
夜、口を開けたままで寝ると唾液が蒸発してドライマウスになります。
鼻が悪い方は、鼻でうまく呼吸できませんので、無意識のうちに口で呼吸を行います。
昼間も夜も口呼吸を続けると、口の中は常時乾燥していることになります。
口呼吸は、悪い噛み合わせや合わない入れ歯などによって起こることもあります。
その他に、よく噛まずに食べると顎の筋肉が衰えて口をしっかり閉じられなくなることが原因になっている場合もあります。
唾液が出なくなる病気について
加齢や生活習慣のせいではなく、病気によって唾液が少なくなることもあります。
1.シェーグレン症候群
「シェーグレン症候群」という病気は難病に指定されており、口や目が渇いてドライマウスやドライアイになってしまうのが主な症状です。
ドライマウス専門外来がある病院では、
ドライマウスを診断するときに、まずシェーグレン症候群かどうかを調べます。
これはシェーグレン症候群とそれ以外のドライマウスでは、治療法が異なるからです。
2.口腔がん、喉頭がん、咽頭がんなど
舌がんなどの口腔がん、喉頭がん、咽頭がんなどの治療で、こうした部位に放射線治療を行うと、
唾液腺が破壊されてしまうことがあります。
3.糖尿病・腎臓病
喉や口が渇く病気に糖尿病があります。
糖尿病が進むと身体が水分不足になるため、唾液の分泌も減少して口や喉が渇きます。
腎臓病でも同じようなメカニズムで、口や喉が渇くことがあります。
このように、ドライマウスは加齢が原因の場合もありますが、
その他にドライマウスを引き起こす様々な病気や生活習慣があります。
唾液を出すには?8つの方法
唾液を増やすために日常生活でできること、意識することをまとめました。
1.お口の中が渇かないように気を付ける
水筒やペットボトル飲料を持ち歩いて、なるべくお口の中が潤っている状態にしましょう。
2.お口の中を清潔に保つ
歯みがきやうがいでお口の中を清潔にする。アルコール入りの洗口液は逆に口内が渇くので利用しないこと。
3.噛む回数を増やす
噛む回数を増やすと唾液の分泌が促進されます。
4.固い飴やガムを食べる
ガムを噛んだり飴をなめることで唾液が増える可能性があります。
砂糖は虫歯の原因になりますので、シュガーレスやキシリトール入りを選びましょう。
5.軽く運動する
運動すると自立神経を刺激しますので、唾液の分泌を促進します。
6.酸味のある食べ物で刺激する
レモンや梅干しなどの酸味は唾液分泌を促進します。ただし摂取しすぎると歯を溶かしますので、ご注意ください。
7.マッサージをする
顎の下や耳の下にある唾液線をそっと軽い力でマッサージすると唾液が分泌されます。
8.普段服用している薬を変更する
現在服用しているお薬の中に口腔内を乾燥させるものがあったら、別の薬に変更してもらいましょう。
これらのことに気をつけて、なるべくお口の中が乾燥しないように、唾液を出すようにしましょう。
シニアのドライマウスに関するQ&A
ドライマウスは口腔乾燥症とも呼ばれ、唾液の分泌が低下して口が乾燥する症状のことを指します。具体的には、自覚として口が乾いていると感じる状態全般を指します。
加齢によって唾液を分泌する機能が低下するため、高齢者はドライマウスになりやすい傾向があります。
口呼吸を続けると、口の中が乾燥してしまいます。これは唾液が蒸発しやすくなるためです。口呼吸は、悪い噛み合わせや合わない入れ歯などによって引き起こされることもあります。
唾液が少ないと虫歯や歯周病になりやすくなります。これは、唾液が口内の洗浄作用を果たし、細菌の増殖を抑える役割を果たすためです。
水分を摂る、口内を清潔に保つ、噛む回数を増やす、ガムや固い飴を噛む、軽く運動する、酸味のある食べ物を摂る、唾液腺をマッサージする、唾液分泌を抑制する薬の服用を見直す、などが挙げられます。
まとめ
ドライマウスは男性よりも女性のほうが圧倒的に多く、50代以降に数が増えてくることがわかっています。ドライマウスの影響はお口の中だけにとどまらず逆流性食道炎や、風邪、インフルエンザなどにかかりやすくなり、うつ状態を引き起こす原因のひとつとなっていることが指摘されています。
ドライマウスを予防するためにご自身で出来ることもたくさんありますので、口の中が渇いているかも?と心当たりがおありの方は、ぜひ対処してくださいね。