歯の機能をすべて知っている方はどれほどいらっしゃるでしょうか。今日は歯の機能、前歯や奥歯の役割の違いなど詳しくご紹介いたします。
歯の機能とは
お口や歯の機能としてどのようなものを思い浮かべますか。
- 食事の際に食べ物を噛んで食べるため
- おしゃべりをする際に人と話すため
主にこの二つを思い浮かべる方が多いでしょうが、それのみではありません。
体のバランスを保つ
一見、体のバランスと歯は関係なさそうですが、上の歯と下の歯をがっちり噛み合わせることで、姿勢やバランスを保つことが可能になります。
表情を作ることができる
表情を作ることができるというのは、ご自身の歯を日常的に噛んで使用していると、お口元の周囲の筋肉も鍛えられ、表情筋が豊かになるからです。
噛むことで脳を刺激する
脳への刺激は歯の内部の歯根膜を通じて脳に伝達され、その温度や噛み応えの刺激により脳を発達させ、運動や感覚、記憶力などに影響を及ぼします。
これらはいずれも歯の大切な機能であり、ご自身の歯を清潔に長く保つことが全体の健康に繋がります。
歯の構造について
次に歯の構造についてご説明します。歯は歯冠部と歯根部に分けられます。
歯冠部
歯冠部とは口腔内に露出している部分です。噛むために人体で最も固い組織と言われるエナメル質があります。エナメル質が一番外側にあり、内側に象牙質、更に内側に歯髄があります。
歯根部
歯根部とは歯肉に覆われている部分で歯槽骨から支えられている部分です。歯根膜が歯の外側にあり、内部に覆うセメント質、更に内部に歯髄があります。
歯髄とは歯の神経と一般的に言われており、血管や神経が走っています。細菌感染により歯髄が死ぬと、根管治療か、歯を抜く処置をおすすめされるでしょう。なぜなら、腐った歯髄の部分に空洞ができてしまい、そこに感染が起きると歯根の先に細菌の膿の袋(嚢胞)が出来ているケースが多いです。強い痛みや腫れなどリスクが高くなるためです。
乳歯・永久歯の大事な役割
おおよそ生まれて半年くらい経てば、赤ちゃんはミルクではなく離乳食になります。成長して時期が来ると、下の前歯の乳歯(乳中切歯)が生えてきます。歯が生えることを萌出と専門的に呼びますが、乳歯の役割は、永久歯が生えるまでの仮の歯というわけではありません。
乳歯の役割
乳歯の大事な役割として、噛んで自分で食事をすることが挙げられます。噛む回数が多くなれば頬の筋肉、味覚、脳が発達し、それによりお顔立ちも引き締まります。乳歯は20本生えますが、永久歯に比べて乳歯はエナメル質や内部の象牙質とも薄く、むし歯の進行が早い特徴があります。そのため乳歯が虫歯になれば、歯茎の骨で成長を続けている永久歯の卵(歯胚)に影響を及ぼし、歯並びの悪さというリスクが生まれる可能性があります。
永久歯の役割
永久歯は32本(親知らずを含む)生えてきます。最近では、上下の親知らず4本が生えないという方もいらっしゃいます。時間をかけてしっかり咀嚼すれば栄養素が吸収され、消化管への負担は軽減します。また、ご自身の歯があれば、発音もきれいにできます。
前歯・奥歯の機能の差
歯科医院では、真ん中の歯から1~7番など番号を付けて呼んでいます。
切歯
笑った時に見える真ん中の前歯2本(1・2番)で、食べ物を噛みちぎる役割
犬歯
尖った糸切り歯(3番)で、食べ物を割く役割
臼歯
犬歯より後ろの奥歯までの歯(4・5・6・7番)で、食べ物をより小さくすりつぶす役割
歯の機能や役割に関するQ&A
乳歯の役割として、噛んで自分で食事をすることが挙げられます。乳歯が正常に機能することで、頬の筋肉や味覚、脳の発達が促されます。
永久歯は咀嚼によって食物をしっかりと砕き、栄養素の吸収や消化を助けます。また、発音にも重要な役割を果たします。
臼歯は犬歯より奥にあり、食べ物をより小さくすりつぶす役割を果たします。臼歯は噛む力をより均等に分散することができるため、効率的な咀嚼が可能です。
まとめ
歯の機能や役割についてご説明しましたが、歯を健康的に保つためには、食後の歯磨きと定期的にメンテンナンスを受診することが大切です。歯磨きで歯垢(プラーク)は除去できますが、歯石は除去できません。歯石は虫歯や歯周病の原因になり、歯科衛生士のスケーラーでなければクリーニングできません。ご自身の歯を大切にするためには、定期検診や、歯磨きをこまめに行うことをおすすめします。