ワイヤー矯正での治療を提案された時、スポーツを定期的に行っている方は悩まれると思います。矯正装置を歯に装着したままスポーツをすることは可能かなどについてご説明します。
目次
人と接触するスポーツかどうかをまず確認する
まず、一概にスポーツと言っても、どのような種類かによります。スポーツジムで一人で行う運動と違い、スポーツ競技の場合相手と接触する競技か、それとも一人で行う競技かという点が重要です。大きく分類すると、コンタクトスポーツとノンコンタクトスポーツに分類されます。
相手選手と一切接触しないノンコンタクトのスポーツ
- バレーボール
- テニス
- 水泳
- ゴルフ
矯正治療中でも気にすることなくスポーツを楽しむことが出来ます。ただ、球技の場合はボールが口元に当たった際に装置が壊れたり、装置が当たってお口の中の粘膜を傷つける可能性はあります。
相手と接触することはあるが基本的に距離があるリミテッドコンタクトのスポーツ
- サッカー
- 野球
- バスケットボール
矯正治療中でもスポーツを楽しむことが出来ますが、球技の場合はボールが口元に当たった際に、矯正装置が壊れたりお口の中の粘膜を傷つける可能性はあります。
力を抑制したうえで相手と接触するセミコンタクトのスポーツ
- 剣道
- カンフー
剣道は綿を付けるためにお顔に接触することはありません。しかしカンフーは謝って口元に手足がぶつかる可能性があるため、注意が必要です。
力を抑制せずに相手と接触するフルコンタクトのスポーツ
- ラグビー
- アメリカンフットボール
- ボクシング
- 柔道
- 水球
競技中に常に相手と接触するリスクのあるスポーツの場合は、接触時に矯正装置が壊れたり、お口の中が傷ついたりする可能性がありますので、ワイヤー矯正はお勧め出来ません。矯正担当医とよくご相談の上、どのように歯並びの治療を行っていくかをお決めください。
矯正のトラブルでよく聞くのが、口内炎です。スポーツを行わない方でも、ワイヤーが頬の内側の粘膜を傷つけて口内炎になったというトラブルがあります。相手と接触するスポーツならば尚更、口腔内に炎症や傷が多くなり、矯正どころではなくなります。
ワイヤー矯正以外でスポーツが可能な矯正方法はある?
ワイヤー矯正以外ならば、インビザラインによるマウスピース矯正が挙げられます。この場合、インビザラインは1日22時間、マウスピースの装着が求められます。歯を防御するためのマウスガードを装着してコンタクトスポーツを行うと、その間矯正治療のマウスピース(アライナー)を装着できないため、歯の動きが遅くなり、期間が長引くデメリットがあります。
また、ノンコンタクトスポーツでも、外部からの衝撃で怪我をする恐れがあります。つまり、矯正治療をしながらのスポーツはあまりおすすめできません。
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットという小さな装置を貼り付け、それらにワイヤーを通して力をかけることで歯を動かしていく矯正方法です。この装置は固定式で、患者さん自身では外せません。
ワイヤー矯正はマウスピース矯正と比べて歯が早く動くというメリットがあります。ワイヤー矯正を行っていると周囲に見た目で矯正中であるということがわかってしまうというデメリットはありますが、矯正の費用が他の矯正よりは安く設定されています。
ブラケットを装着すると痛みや違和感はある?
ワイヤー矯正では、痛みや違和感を心配される患者さんがおられます。確かにワイヤー矯正とインビザライン(マウスピース矯正)での痛みを比べてみると、一般的にはインビザラインの方が歯を少しずつ動かすため、痛みが出来にくいです。
ワイヤー矯正ではワイヤーの交換時に痛みや違和感が出やすいのですが、子供は順応性が高いため矯正装置に慣れるのが早いですし、成人した方でも、1週間ほどの日数があれば痛みに慣れて気にならなくなるケースがほとんどです。
ワイヤー矯正を勧められた場合、いつ始める?
部分矯正か全体の矯正かにより、期間や費用が大きく異なりますが、噛み合わせが悪いケースは、全顎矯正となります。装置の種類はワイヤーブラケット矯正・マウスピース矯正(インビザライン矯正)が一般的に歯科医院で多く取り扱われています。
ただし、フルコンタクトのスポーツの場合は、歯を防御するためのマウスピースガードの装着が義務付けられている競技もあり、矯正のタイミングが難しいです。例えば部活動でスポーツを行われている方は、部活動の引退や大きな試合を終えたタイミング矯正治療を開始するのが、よりよい時期でしょう。
矯正でブラケットをつけている時のスポーツに関するQ&A
ワイヤー矯正では、口内炎のリスクがあるためスポーツ時には口腔内の保護が重要です。スポーツをする際にはマウスピースガードを装着することが推奨されます。また、フルコンタクトの競技では口腔内への衝撃が大きく、矯正治療中の歯への損傷リスクも高まるため、慎重な行動が必要です。
スポーツと矯正治療を両立させるためには、まずは歯科医師と相談し、適切なタイミングや対策を取ることが重要です。フルコンタクトの競技ではマウスピースガードの装着が必要ですし、できるだけ口腔内の保護を徹底することが大切です。また、競技の負荷やリスクに応じて矯正治療の進行を調整することも考慮してください。
一般的に、力を抑制せずに相手と接触するフルコンタクトのスポーツは矯正治療中には避けるべきです。セミコンタクトやリミテッドコンタクトの競技は矯正治療との両立が可能ですが、注意が必要です。ノンコンタクトの競技は問題ありません。
まとめ
綺麗な歯並びに改善すれば正しく噛め、歯磨きなどのセルフケアで虫歯や歯周病のリスクを下げ、お顔の印象が変わります。噛み合わせが良くなることで特定の歯への負担が減り、スポーツの成績が上がるプロ選手もおられます。歯並びで気になる点がありましたら、クリニックでご相談ください。