歯と口のトラブル

歯磨きで歯茎から出血。どうしたらいいの?

歯磨きで歯茎から出血。どうしたらいいの?

梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 竹田 亮

歯磨きしていて歯茎から出血があった場合の原因の殆どは歯周病による炎症です。歯茎からの出血についてご説明します。

歯磨き時の出血の原因は?

歯磨きをしていて歯茎から出血するときの原因は、歯周病で歯ぐきが炎症を起こしていたり、歯みがきを強くやりすぎて歯ぐきを痛めてしまう場合が殆どです。

1. 歯垢がたまっている

歯茎からの出血の最も一般的な原因は歯垢の蓄積による炎症です。食べ物のカスや唾液中の成分が、歯と歯茎の境目に溜まり、これが歯垢(プラーク)となります。歯垢が長期間放置されると、歯垢内の細菌が毒素を生成し、歯茎を刺激して炎症を引き起こします。この炎症が、歯磨き中の出血の原因となります。

  • 歯垢は、歯磨きやフロスを怠ることで溜まりやすく、特に歯と歯茎の境目や歯の裏側に磨き残しが起こりやすいです。
  • 歯垢は柔らかいですが、48時間以内に固まり始め、歯石へと変化します。歯石になると、歯磨きでは除去できず、歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。

2. 歯周病の初期症状

歯周病にかかっていて歯肉炎になっていると、歯磨きの刺激で歯茎から血が出るときがあります。普段の歯磨きで出血しなくても、歯科衛生士がプローブという先が細くなった器具を歯茎に入れて歯周ポケットが何mmあるかを測る際に出血する場合があります。

歯周ポケットの深さを測るのは、歯周病の進行の程度を調べるためです。定期健診の時に歯茎をチクチク何かでつつかれ、2とか3とかいう数字が聞こえてくることがあると思いますが、それは歯科衛生士が歯周ポケットの深さを測って記録しているのです。

歯ぐきの健康状態は、自分で鏡で見てもよくわからない場合が多いのですが、歯科医院の定期検診等で歯ぐきのチェックや歯周ポケットの深さを測ることではっきりとわかります。歯周ポケットが深くなっている場合は歯周病の疑いがあります。

  • 歯周病の初期段階であれば、歯磨きと定期的な健診によって改善が見込めますが、放置すると不可逆的なダメージが発生することもあります。
  • 歯肉炎の主な症状には、歯茎の赤み、腫れ、触れた際の痛みなどが含まれます。

3. 歯磨きが強すぎて歯茎を傷めている

歯ブラシ

しっかり歯磨きしようとして、強い力でブラッシングしすぎたために歯茎から出血することもあります。この場合は、歯茎の炎症のためではなく、単に歯茎に歯ブラシによる物理的な刺激が加えられたせいです。

あまり強い力でブラッシングを続けると、歯茎が退縮してしまうリスクがありますので、歯ブラシは鉛筆握りにして、軽い力で細かく動かすように心がけましょう。

  • 歯磨きは優しい圧力で行い、歯茎を傷つけないようにしましょう。正しい方法でのブラッシングは、毛先が歯と歯茎の境目に軽く触れる程度で、約45度の角度で動かすのが理想的です。
  • また、強すぎる力で磨いていると、逆に歯垢を効果的に除去できない可能性があります。歯垢は比較的柔らかいため、除去するためには強い力は不要です。

4.不適切な歯ブラシの使用

歯ブラシが古くなって毛先が広がっている場合、歯茎に刺激を与えやすく、出血の原因となることがあります。また、毛の硬さが自分の口腔内の状態に合っていない場合も歯茎へのダメージを引き起こす可能性があります。

  • 歯ブラシは、1~3ヶ月ごとに交換することが推奨されます。毛先が広がっている歯ブラシでは、効果的な歯磨きができず、歯茎に過剰な圧力をかけてしまうことがあります。
  • 歯茎が敏感な場合は、柔らかめの毛の歯ブラシを使用することが適しています。特に歯茎の炎症がある場合には、柔らかい歯ブラシが刺激を抑えつつ歯垢を除去してくれます。

5. ビタミン不足

歯茎の健康には、ビタミンや栄養素が大きく関わっています。特に、ビタミンCの不足は、歯茎の出血を引き起こす可能性があります。ビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、歯茎を健康に保つ役割を担っています。このビタミンが不足すると、歯茎が弱まり、出血しやすくなります。

  • ビタミンCが豊富な食材には、柑橘類やピーマン、ブロッコリーなどがあります。これらの食品をバランスよく摂取することで、歯茎の健康を保ちましょう。

6. 妊娠中のホルモン変化

妊娠中の女性は、ホルモンバランスの変化によって歯肉炎を起こしやすくなります。この状態を妊娠性歯肉炎と呼び、歯磨き中に出血しやすくなります。ホルモンの変化が歯茎に影響を与え、炎症や出血が起こることがありますが、これは一時的なものです。

  • 妊娠中は特に口腔ケアに気を配ることが重要で、定期的に健診を受けることで、歯肉炎を予防しやすくなります。

歯茎からの出血を放置した場合のリスク

歯茎からの出血を軽視して放置すると、様々なリスクが生じます。

歯周病の進行

歯周病が進行すると、歯茎がさらに炎症を起こし、歯がぐらついたり、最終的には抜けてしまう可能性があります。歯周病はお口の中の問題にとどまらず、心血管疾患など全身の健康にも悪影響を与えることが知られています。

出血が持続している場合の問題

歯茎からの出血が数日間続く場合、それは単なる一時的なものではなく、より深刻な問題を示している可能性があります。特に、出血が頻繁に起こる場合には、歯周病や他の健康問題を診断し、治療を行うことが重要です。

歯茎からの出血を防ぐための生活習慣

日常生活の習慣が歯茎からの出血に影響することも少なくありません。以下のポイントに注意することで、出血のリスクを減らすことができます。

1. バランスの取れた食生活

ビタミンCやカルシウムが不足すると、歯茎の健康が損なわれ、出血しやすくなることがあります。新鮮な野菜や果物、乳製品などをバランスよく摂取することが重要です。

2. 喫煙と飲酒の影響

喫煙は歯茎の血流を悪化させ、炎症を引き起こしやすくします。また、過度な飲酒も歯茎の健康を損ねる原因となるため、適度な生活習慣を維持することが大切です。

3. 歯科健診の重要性

定期的な健診を受けることで、歯垢や歯石の除去が可能となり、歯茎の健康を維持できます。また、歯科医院でのクリーニングを受けることで、歯周病の予防や早期治療が可能です。

歯周病で炎症が起こっている場合の治療

健康な歯と歯周病

歯と歯茎の境目の溝の部分のことを歯周ポケットと呼びます。歯周ポケットには歯石やバイオフィルムと呼ばれる細菌の塊が棲みついていて、軽度の歯周病であれば歯科医院の歯石取りやクリーニングを受けると、細菌の数が減って歯肉の状態が徐々に改善していきます。

しかし治療せずに歯周病がどんどん進行してしまうと、歯周ポケットが深くなっていき、次に歯槽骨が溶かされて歯がぐらぐらし出します。歯槽骨が歯を支えきれなくなると歯が抜けてしまいますので、そうなる前に、徹底した歯のクリーニングによる歯周病治療をお受けいただきたいと思います。

歯のクリーニングでは歯科衛生士が歯周ポケットと歯の間に付着したバイオフィルムや歯石を丁寧に取り除き、セルフケアではなかなか落としきれない歯と歯の間もきれいにクリーニングします。

クリーニングの際には専用の機器を使用しますので、普通の歯みがきでは落とせないような汚れもきれいに出来、歯の表面がつるつるになります。口臭が気になる方にも歯のクリーニングはお勧めです。

歯科医院でのクリーニングだけでなく、ご自宅でもしっかりとケアしていくことが重要です。根気よく続けていくことで歯の健康が保たれます。

まとめ

歯のキャラクター

歯磨きの時の歯茎からの出血は殆どの場合、歯周病による炎症が原因ですが、適切なケアで改善します。毎日の歯磨きで磨き残しを出来るだけ減らすことと、定期的に歯医者で定期健診を受けていただくことが、歯周病の予防になります。歯を守り、ずっと健康に保つために根気よく続けましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科
院長 竹田 亮

2007年 国立長崎大学歯学部卒業。

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梅田茶屋町クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック