酸蝕歯(さんしょくし)も歯の健康のためには気をつけなければいけません。酸蝕歯は、食品に含まれる酸によって少しずつ歯が溶けてしまうというものです。酸蝕歯の原因や治療についてご説明します。
酸蝕歯とは?
酸蝕歯(さんしょくし)とは、柑橘類の果物、ワイン、ジュース、炭酸飲料、スポーツドリンク、ビタミンCの顆粒や液体のサプリメント等、酸性の食品や薬品を毎日のように摂取することで、歯が少しずつ溶けてしまった状態のことをいいます。
夏場の疲労回復に良いといわれて黒酢飲料を毎日欠かさず飲んでおられる方もおられるでしょうし、多くの炭酸水はph2.5~4の間に含まれ、酸性度は高めです。
他のドレッシングに比べると低カロリーなのでポン酢でサラダを召し上がる方もおられると思いますし、酢の物がお好きな方もおられるでしょう。
レモンやグレープフルーツも、ビタミンCが豊富でいかにも身体を元気にしてくれそうです。しかし、これらの酸性の食べ物や飲み物を頻繁に摂取すると、酸蝕歯を引き起こす原因になる場合があります。
飲食以外でも酸蝕歯が起こる場合がある
食べ物・飲み物以外で酸蝕歯を引き起こす原因の代表的なものは、胃液です。胃液は塩酸で、pH1.0~2.0の強酸です。食べ物を溶かして吸収を助ける役割の胃液ですが、逆流性食道炎などで胃液が口の中に流れ込むことで酸蝕歯を引き起こしてしまうことがあります。
他には拒食症、摂食障害などで嘔吐を繰り返すと、歯が胃液に晒されて溶けてしまうリスクがあります。これを回避するには、まず疾患の治療が必要です。
酸蝕歯になっていないかチェックしてみましょう
以下のチェック項目のチェックが多い方は酸蝕歯になっているかもしれません。
□ 歯がしみることがある
□ 前歯の先端が欠けている
□ 歯が細くなってきた
□ 歯の厚みが薄くなってきた
□ 歯のつやがなくなってきた
□ 歯の色が黄色くなってきた
□ 詰め物と歯の間に隙間ができてきた
□ 詰め物が変色してきた
□ 歯と歯の境目や歯の窪んでいる部分が茶色くなってきた
□ 歯みがきを丁寧にしてもむし歯になる
当てはまる項目の数が多いほど、酸蝕歯が疑われます。気になる方は歯の定期健診の際に歯科衛生士に相談してみましょう。
酸蝕歯を予防するには?
酸蝕歯を予防するには、以下のことに気をつけましょう
酸蝕歯を予防するためには?
- 炭酸飲料など酸性度の高い飲料は長時間口の中にためない
- 酸性度の高いものを飲食したら水でうがいをする
- 酸性度の高いものを飲食する回数を少なくする
- 就寝前は酸性度の高い飲食物を控える
これらに気をつけるだけで、酸蝕歯のリスクはかなり減ります。
酸蝕歯を予防する歯磨きについて
酸性のものを飲んだり食べたりしたあと、すぐに歯みがきをすれば大丈夫だと思われるかもしれませんが、実はこれは逆効果です。
酸によって歯がやわらかくなっている時に歯ブラシで歯の表面をこすると、歯は更に擦り減ってしまいます。唾液が出ることによって、口の中の酸は中和され、歯の表面から溶けだしたカルシウムが再石灰化します。つまり唾液による歯の再石灰化が行われた後、食後30分から1時間程度経過してから歯を磨くのが良いでしょう。
そして、歯磨き時にはフッ素入りの歯磨き剤の使用をおすすめします。歯科医院で販売されている歯磨き剤は、ドラッグストアなどで購入出来るものよりもフッ素の含有量を多く、歯を酸のダメージから守ってくれることが期待出来ます。
歯みがきは食後30分くらいたってから行う
酸蝕歯に関するQ&A
酸蝕歯は、柑橘類の果物、ワイン、ジュース、炭酸飲料などの酸性食品や薬品を摂取し続けることで、歯が溶けてしまう状態を指します。
酸蝕歯を引き起こす主な食品や飲み物には、柑橘類の果物、ワイン、ジュース、炭酸飲料、スポーツドリンク、ビタミンCのサプリメントなどがあります。
酸蝕歯を予防するためには、酸性度の高い飲料は長時間口に残さず、摂取後は水でうがいをすること、酸性度の高いものの摂取頻度を減らすこと、就寝前に酸性食品を控えることが重要です。食後30分経過後に歯磨きを行い、フッ素入りの歯磨き剤を使うことも効果的です。
まとめ
ご自身の食習慣を振り返ってに、酸蝕歯になっているのでは?と心配になった方もおられるでしょう。そんな場合は、定期健診の時に相談してみましょう。定期健診では虫歯や歯周病の予防のための治療を行いますので、酸蝕歯への対応も早めに行うことが出来ます。